シリコンバレーの有力紙San Jose Mercury Newsは12月25日(現地時間),「2007年の技術トレンド10大予測(10 Tech Trends of 2007)」を発表した。Web 2.0的なユーザーによる情報共有は2007年も加速すると予測しているほか,モバイル・コンテンツが成長する,ゲームが家族全員に広がる,個人情報漏洩のリスクが高まるなどとしている。

 概要は以下のとおり。

1.すべてはあなた次第(It's all about 'you')

 タイム誌はパーソン・オブ・ジ・イヤーとして「You」を選んだが,YouTube、MySpace eBay、Digg、Wikipediaなどに代表されるユーザーによる情報共有はますます加速する。

2.コンテンツはモバイルに(On the go)

 ゲーム,広告,SNS,音楽,ビデオ,GPSアプリケーションすべてが携帯電話向けにリパッケージされ,コンテンツはモバイル化が進む。

3. 電気自動車はまだ死なず(Not dead yet)

 シリコンバレーのベンチャーTesla Motorsは2007年秋に電気自動車の生産を開始する。すでに260台の予約がある。今年「だれが電気自動車を殺したか」というドキュメンタリーがあったが,電気自動車はまだ死んでいない。

4.Vistaは世界に火を点けず(Hasta la Vista, Baby)

 Windows Vistaは,コンピュータの販売をいくらか加速するだろうが,世界に火を点けることはない。Vistaは期待されているが,革命的な製品ではない。Endpoint TechnologiesはVistaが8200万コピー販売されると予測している。ほとんどは新しいPCにバンドルされたもので,年間7%の成長率と推定される。

5.人類皆ゲーマー(We're all gamers now)

 ソニーやマイクロソフトのマシンはコアなゲーマー向けだったが,任天党のWiiは家族全員に訴える最初のコンソールになるチャンスがある。すでに任天堂のDSは「頭脳年齢(Brain Age)」のようなタイトルでノン・ゲーマーの心をつかんでいる。携帯電話やiPodでのカジュアル・ゲームも広まっている。2006年,ゲーム産業は世界で推定3兆3300億円(280億ドル)規模と推定されている。

6.個人情報が危ない(No secrets here)

 コミュニケーション革命の進行にともないプライバシーが危険にさらされる。オンラインの操作,ノートパソコンの盗難,ハッカーの不正アクセス。テロ対策としてFBIはVoIP上の通話を監視する試みを行っている。MySpaceのようなSNSでユーザーがうっかり情報を漏らすといったことも起きるかもしれない。

7.太陽電池は昇る(Here comes the sun)

 太陽電池はティッピング・ポイントに達した。カリフォルニア州のシュワルツネッガー知事が推進する,太陽電池に奨励金を出す「100万戸ソーラー・ルーフ計画」に基づき,ベンチャ企業が活発な開発競争を繰り広げている。

8.カウチポテト族の夢が現実に(Couch potatoes celebrate)

 「ボタンひとつであらゆるハリウッド映画を呼び出す」ことが2007年,現実になり始める。AT&TとVerizonはIPTV (インターネット・プロトコルのテレビ)サービスを計画。AppleはiTunes Videoとテレビの接続装置をリリースする。BitTorrentは2月に開始,マイクロソフトのXbox 360はすでに開始,IntelはViivべースのサービスを提唱。ソニーもPlayStation 3で後に続くだろう。

9.LEDが蛍光灯を代替へ(Get the LED out)

 かつて蛍光灯が電球を代替したようなことが,2007年,再び起こる。LEDが蛍光灯を代替する。LEDはまだ高価だが,消費電力の少なさと寿命の長さから,コスト的な意味を持つ段階へと到達した。

10.位置情報サービスがブレイク(I can find you now)

 2007年,ほとんどの携帯電話はGPS(Global Positioning System,衛星による全地球測位システム)チップを搭載する。サービスは既に始まっている。例えばLooptはソーシャル・マッピング・サービスを開始している。友人が近くづくとNextelの携帯電話にアラートを知らせる。SprintのFamily Locatorは子供の位置を親に知らせるサービスだ。やがては位置に応じた広告表示サービスも始まるだろう。Googleは日本の携帯キャリアKDDIと提携した。

◎関連資料
10 Tech Trends of 2007(San Jose Mercury News)