2人寄ればビジネスや採用の情報を交換し合うネットワーク社会,シリコンバレー。そこでビジネスに広く利用されているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)がある。Linkedinである。シリコンバレーでコンサルティング業を営む筆者にとって,Linkedinは日々の仕事に欠かせないものとなっている。

ビジネスに特化,130カ国で850万人が利用

 Linkedinは2003年にカリフォルニアのPalo Alto市で生まれたビジネス特化型SNSである。当初シリコンバレーで広まったが,現在は米国のみならず130カ国で850万人が利用している。創業したその年に,シリコンバレーの名門ベンチャ・キャピタルであるSequoia CapitalやGreylock Partnersが投資を行ったことでも知られている。

 Linkedinをうまく使いこなすことは,シリコンバレーでのビジネスを進める上でのカギとなる。シリコンバレーでLinkedinを知らない人はいない。Linkedinに社員が一人も参加していない,という企業はまずないため,コンタクト先担当者を検索できる。

 例えば,筆者があるヘルスケア企業のスタートアップ(創業間もない企業)でコンサルティングをしているときに,資金確保のため大手製薬企業の投資部門担当者を探す必要に迫られたことがあった。通常のシリコンバレーのタイプ(ITや通信)ではない製薬というバーティカルな分野,しかも投資ということで,筆者のこれまでのコンタクトから適当な相手を探すことが難しい。

 そこで,ヘルスケアと投資というキーワードを使いLinkedinで検索すると,いくつかのコンタクト先が出てきた。その中から可能性の高い数件を選びコンタクトした。最終的に,大手製薬会社の投資担当者とクライアントが投資案件について電話会議をセッティングすることができた。

 Linkedinがなければ,このようなコンタクトはおそらく不可能だったであろう。

 求人や求職にもよく利用されており,Linkedinのみで採用を行う場合さえある。

Web上のRolodex(名刺ホルダー)

 アメリカでは,ビジネス開発や営業にはRolodex(アルファベット順の回転式名刺入れ)にたくさんのコンタクトを持っている人を雇うべきとよく言われる。人間のコンタクトやコネクションがビジネスに不可欠だからである。

 少し乱暴かもしれないが,LinkedinはこのRolodexをWebで実現したと言えるかもしれない。名前,職歴,学歴,専門,コンタクトのすべてが瞬時に分かるだけでなく,その人への推薦文,さらにそれぞれのコンタクトがどのような人とネットワークを持っているかなど,Webならではの情報も簡単に手に入る。図1は筆者のプロフィールのページである。


図1●筆者のプロフィールのページ
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