米IBM,台湾Macronix International,ドイツQimonda(ドイツInfineon Technologiesの子会社)の3社は,Phase-Change Memory(PCM:相変化メモリー)と呼ぶ新しい不揮発性メモリー(NVM)を開発した。3社が米国時間12月11日に明らかにした。新たな材料を利用することで,現在のフラッシュ・メモリーより高速で,メモリー・セルが小さいPCMを実現できたという。

 PCMは,データを電気として保存するのではなく,特殊な素材の状態(相)をアモルファス状態から結晶状態に切り替えることによりデータを保存する新しい方式のメモリー。電源を切ってもデータを保持できる不揮発性を備え,高速/高密度データ・ストレージを実現できる可能性があるという。

 3社は,ゲルマニウム/アンチモン(GeSb)合金に不純物を添加した材料を用い,PCMを製造した。結晶状態の切り替えには熱を利用している。

 このPCMは,現在のフラッシュ・メモリーに比べ500倍以上高速なスイッチング動作が可能で,メモリー・セルに対するデータ書き込み時の消費電力は2分の1を切った。セルの大きさは3nm×20nmでフラッシュ・メモリーよりはるかに小さく,半導体業界が2015年に対応する計画の製造プロセス・ルールに相当するという。

 同PCMの詳細は,カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の米国電気電子学会(IEEE)のInternational Electron Devices Meeting(IEDM)と,同じくサンフランシスコで2007年2月11日~15日に開催される国際固体素子回路会議(ISSCC)で発表する。論文の題名は「Ultra-Thin Phase-Change Bridge Memory Device Using GeSb」(GeSbによる超薄型相変化ブリッジ・メモリー素子)。

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