中国・香港で開催中のITU TELECOM WORLD 2006のNECブースでは,携帯電話で利用することを目指した音声翻訳のデモがあった。日本語で話した旅行会話を英語に,あるいは反対に英語を日本語に翻訳して携帯電話の画面に表示する。

 2005年12月に開催された同社のプライベート・ショー「iEXPO 2005」では,マルチプロセサでの翻訳を披露していた。これを「1年かけて力業でシングルプロセサに押し込めた」と開発を担当した,NECエレクトロニクス,第三システム事業本部デバイスSI事業部の林美奈子シニアシステムインテグレータは明かす。その結果,ARM926 200MHz以上,RAMとROMそれぞれ25Mバイトという最近の携帯電話機の最上位モデルと遜色ないスペックで稼働するようになったという。

 性能は,認識速度が発声時間の1.1倍程度,つまり10秒程度の発声なら発声が終わってから1秒以内に認識する。それを約2秒以内で翻訳して表示できる。これによって旅行者は携帯電話があれば,わざわざ電子辞書を持ち歩かなくても外国人とコミュニケーションが取れるようになる。