写真1 中国ZTEが展示したFASTSTEP対応の携帯電話
写真1 中国ZTEが展示したFASTSTEP対応の携帯電話
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写真2 FASTSTEPに対応した韓国LGの携帯電話
写真2 FASTSTEPに対応した韓国LGの携帯電話
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 12月4日から中国・香港で開催中のITU TELECOM WORLD 2006で,中国ZTEが携帯電話のテン・キーの間にアルファベット・キーを埋め込んだ不思議な端末を展示している(写真1)。アルファベット・キーを使ってメールやアドレス帳,スケジュール,WebサイトなどのURL,検索文字列の入力などが可能になる。従来よりも少ないキー操作で文字を打つことができる。

 実はこの端末は,米国の技術ベンチャ企業,デジワイヤレス(DigitWireless)が開発した「FASTAP」技術を搭載している。(1)アルファベット・キーをテン・キーよりも高い位置に配置する,(2)指が滑っても適切な文字が入力できるアルゴリズム,(3)同時に複数のキーを押した場合に適切なキーが選択されるアルゴリズム--などが組み込まれている。

 (1)の工夫を取り入れたことで,押し間違えが少なくなるという。記者も実際に触ったが,確かに数字と文字の打ち分けが容易だった。(2)はアルファベットと数字ボタンをほぼ同時に押した場合に適切な文字が選択されるというもの。例えば,数字の「2」の周りに「F」,「G」,「J」,「K」があるが,「F」とほぼ同時だが次に「2」が押された場合,「2」が選択される。逆の順番に押された場合は「F」が選択される。(3)は数字のキーの周りにある文字キーが複数同時に押された場合にその間にある数字を選択するというもの。例えば,深く数字を押した場合に周りの文字キーも同時に触ってしまうことがあるが,こうしたケースでも正確に数字が入るようにしている。

 日本での展開は「これから」(デジワイヤレスのマーケティング&パブリックリレーションのグリマン・J・キラディス上級部長)。ひらがなとアルファベットをどのように配置すれば,ユーザーにとって使い勝手がいいのか現在研究中だという。FASTAP対応端末は既に韓国LGが北米などで出荷している(写真2)。

●日経コミュニケーション編集部より デジワイヤレス(DigitWireless)が開発した技術について,記事掲載時には「FASTSTEP」と表現としておりましたが,正しくは「FASTAP」でした。記事該当部分を修正したことをお断りいたします。2005.12.14