写真1 真ん中がシミュレータ。左の装置から信号を入れ,右の装置に出力する
写真1 真ん中がシミュレータ。左の装置から信号を入れ,右の装置に出力する
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写真2 時空間伝送路模擬システム。3次元の地図と壁の材質情報から電波状況をリアルタイムに計算する
写真2 時空間伝送路模擬システム。3次元の地図と壁の材質情報から電波状況をリアルタイムに計算する
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 パナソニック モバイルコミュニケーションズは,12月4日から中国・香港で開催中の「ITU TELECOM WORLD 2006」において第4世代携帯電話(4G)向けのシミュレータ「時空間伝送路模擬システム」を展示している。

 4Gのシステムでは,周波数当たりの通信能力を向上させるために,MIMO(multi-input multi-output)を利用することが必須とされている。MIMOとは複数のアンテナを使って複数の信号を同時に流す技術。MIMOでは,複数の信号がさまざまな経路を通りながら伝播するマルチパスを利用し,信号を多重化する。

 今回展示しているのは,市街地でのマルチパス環境を仮想的に作り出す装置。入力端子に入力信号を入れると,出力端子から仮想環境を通った後の信号が出力される。仮想環境は3次元の地図と壁の材質から自動的に計算される。端末の移動もサポートしており,高速道路を自動車で移動している程度の速度まで計算できるという。

 このシステムを使えば,「実環境で試験しなくても実験室である程度の傾向をつかむことができるため,端末開発のスピードアップが図れる」(パナソニック モバイルコミュニケーションズの説明員)という。