米ABI Researchは米国時間11月29日,携帯電話に配信するモバイル広告についての調査結果を発表した。それによると,2006年末までに世界のモバイル広告の売上高は,19億ドルに達するという。同社は,今後5年間は同市場が2ケタ成長を達成すると見込んでいる。

 同社は,広告媒体として携帯電話が利用される理由として,携帯電話が個人の所有物であるため,テレビやパソコンより的確にターゲットが絞れることを挙げている。広告主は,エンドユーザーが訪問したWebサイトや購入した商品などを通じて,ユーザーの情報を取得し,的を絞ったチャンペーンが展開できるという。

 クリック・スルー率が高いことも,広告主がモバイル広告を好む理由のひとつになっているという。通常のインターネットにおける広告バナーのクリック・スルー率が0.2%なのに対し,モバイル・バナーは2~3%の範囲となっている。ただし同社によれば,モバイル・バナーのクリック・スルー率は今のところ高いが,目新しさが薄れるにつれて低くなるという。

 また,効果的な広告活動を展開するために,消費者から反発を受けないようにモバイル広告を配信する必要があると同社は指摘している。消費者は,頻繁にSMS(ショートメッセージサービス)メッセージが送られたり,受け取りを承諾していない,または的が外れたメッセージを受信すると不愉快に感じるため,逆効果を招くという。このような事態を防ぐために,mコマースを推進する業界団体,Mobile Marketing Association(MMA)は,携帯電話を対象とするマーケティング規範を策定している。

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