欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間11月27日,欧州におけるスパム,スパイウエア,不正ソフトウエアなどの被害状況に関する調査結果を基に,「欧州各国はいっそう対策を強化すべき」とする声明を発表した。「欧州ではスパムを違法とする法律が存在するにもかかわらず,欧州内部あるいは第三国からの不正なオンライン活動による被害が続いている」(EC)。

 米Symantecおよび英MessageLabsによると,すべての電子メールのうち,スパム・メールが占める割合は推定54~85%という。2005年におけるスパムの被害額は世界で390億ユーロ(米Ferris Researchの推計),悪意のあるソフトウエアによる被害額は110億ユーロ(米Computer Economicsの推計)にのぼる。また,メール・リレーによるスパムの32%は欧州から,34%はアジアから送られている(英Sophosの調査)。


■2006年第3四半期におけるスパム・リレー国ワースト12
国 割合 ------------------------------- 1 米国 21.6% 2 中国(香港を含む) 13.4% 3 フランス 6.3% 3 韓国 6.3% 5 スペイン 5.8% 6 ポーランド 4.8% 7 ブラジル 4.7% 8 イタリア 4.3% 9 ドイツ 3.0% 10 台湾 2.0% 11 イスラエル 1.8% 12 日本 1.7% その他 24.3% ------------------------------- 出典:Sophos

 EUでは既にこれらの脅威を取り締まる規制をeプライバシ指令(ePrivacy Directive)の一部として設けているが,ほとんどの加盟国で十分に機能していない。「EU法のもとで効果的に規制を導入するにあたって職権を明確にするべきだ。スパムの犯罪傾向や国境をまたいだ行為に対抗するには,各国当局間の優れた協力体制が最も重要である」(EC)。

 オランダでは国内のスパムを85%削減しているという。EC情報セキュリティおよびメディア担当コミッショナのViviane Reding氏は,「ほかの国にも,より効果的な取り組みを通じて同様の成果を期待したい。来年,この問題を再提議し,さらに法的手段を設定する必要があるか検討する」としている。

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