欧州連合(EU)の独占禁止法当局である欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間11月23日,米Microsoftから技術文書の改訂版を受け取ったことを明らかにした。ECはMicrosoftが同日までに文書を提出しなかった場合,7月31日にさかのぼって制裁金を日額300万ユーロ(約381万ドル)に増やすと警告していた(関連記事)。

 ECは2004年3月,Microsoftが欧州の独占禁止法に違反したと判断し,罰金4億9720万ユーロ(約5億9659万ドル)を科した。さらに,競合他社の製品がWindows搭載パソコンやサーバー上で完全な互換性を確保できるようWindowsのインタフェース情報を120日以内に開示することと,「Windows Media Player」を搭載しないバージョンのWindows OSをパソコン・メーカー(あるいはエンド・ユーザー)に90日以内に提供することなど,業務改善を求める和解条件を決定していた。

 MicrosoftはECの命令に従って技術文書を提出してきたが,ECは文書の内容やMicrosoftの対応が不十分であることなどを理由に2006年7月,総額2億8050万ユーロ(約3億5600万ドル)の制裁金を科すと決めた(関連記事:その1その2)。

 これに対しMicrosoftは7月19日に改めて技術文書を提出し,ECがその内容を検討していた(関連記事:Microsoft,EUの制裁金上積み回避に向けた土壇場の試み)。検討の結果,ECは不十分な点がまだあるとして,11月23日まで再提出するよう求めていた。

 なお,Microsoftが提出した文書は,必要な情報がそろっているか潜在ライセンシがレビューを行い,ECの順守状況監視機関(Monitoring Trustee)が正確性をテストする。米メディアの報道(CNET News.com)によると,技術文書が完全にECの命令条件を満たすものか判断が下るまでに数カ月かかる見通し。

 一方Microsoftは米国時間11月23日に,「文書提出を完了した」との声明を発表した。「書類は100点以上にわたり,合計8500ページにのぼる。当社はECの命令に完全に遵守するために取り組んでいる」(同社)

[発表資料(ECのプレス・リリース)]
[発表資料(Microsoftのプレス・リリース)]