EU(欧州連合)の独占禁止法(独禁法)担当委員が11月15日(ベルギー時間),米Microsoftを「2004年の独禁法違反判決の命令に従っていない」と批判し,「新たな制裁金を検討する可能性がある」と警告した。EUの独禁法当局である欧州委員会(EC)はMicrosoftに対して,判決で命じた「完全に整った正確な」サーバーの技術文書を2006年11月23日までに作るよう求めた(関連記事:ECが「Microsoftの技術文書は不十分」と判断,11月23日までの再提出を要求)。

 Microsoftは「命令された文書を独禁法担当委員に提出する作業は,大きく進展した」と主張している。ところが,EUは「Microsoftの取り組みは不十分」と断言する。独禁法担当委員のNeelie Kroes氏は11月第3週,「100%の情報が必要なところに90%用意されたところで,何とも思わない。ジグソー・パズルのようだし,足りないピースもある」と述べた。

 EUの広報担当者は11月15日に「われわれの忍耐には限界がある」と認めた。「技術文書がすべてそろわない限り,全く役に立たない」(EUの広報担当者)。EUによると,Microsoftがこれまで提出した技術文書は,不完全で正確さに欠けていたという。要求している文書が全部届いたら,EUはMicrosoftの競合企業に文書を送り,詳しく調べてもらう予定だ。「技術文書に残っている脱落と不足が11月23日までに解決できれば」(EUの広報担当者),競合企業は11月中にレビューできる。

 EUは競合企業からの検討結果に基づき,Microsoftが2004年の判決に最終的に従ったかどうかを判断する。「Microsoftがこのまま要求に応えなければ,7月31日以降の制裁金をこれまでの日額256万ドルから385万ドルに増やす」と警告した。