欧州連合(EU)の独占禁止法当局である欧州委員会(EC)は,米Microsoftから7月19日に提出されたWindowsサーバーの通信プロトコル技術文書について,「2004年3月の判決にともなう和解条件を満たしていない」と判断した。EUがベルギーで現地時間11月15日に明らかにしたもの。ECはMicrosoftに対して,11月23日までに不足分を提出するよう要求した。

 ECは2004年3月,Microsoftが欧州の独占禁止法に違反したと判断し,罰金4億9720万ユーロ(約5億9659万ドル)を科した。さらに,競合他社の製品がWindows搭載パソコンやサーバー上で完全な互換性を確保できるようWindowsのインタフェース情報を120日以内に開示することと,「Windows Media Player」を搭載しないバージョンのWindows OSをパソコン・メーカー(あるいはエンド・ユーザー)に90日以内に提供することなど,業務改善を求める和解条件を決定していた。

 MicrosoftはECの命令に従って技術文書を提出してきたが,ECは文書の内容やMicrosoftの対応が不十分であることなどを理由に2006年7月,総額2億8050万ユーロ(約3億5600万ドル)の制裁金を科すと決めた(関連記事:その1その2)。

 これに対しMicrosoftは7月19日に改めて技術文書を提出し,ECがその内容を検討していた(関連記事:Microsoft,EUの制裁金上積み回避に向けた土壇場の試み)。検討の結果,ECは不十分な点がまだあるとして,Microsoftに文書の再提出を求めた。ECは「再提出期限の11月23日までに残りの技術文書を受け取れば,11月末には完全な形で文書を関係者に提供できる」としている。

 なおECは,Microsoftによる和解条件の不履行が続けば,7月31日にさかのぼって制裁金の金額を日額300万ユーロ(約381万ドル)に増やす。

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