IBM会長兼CEOのSamuel J. Palmisano氏が1億ドル投資を発表
IBM会長兼CEOのSamuel J. Palmisano氏が1億ドル投資を発表
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 米IBMは今後2年間に,10種類の新事業を推進するために1億ドルを投資する。同社会長兼CEOのSamuel J. Palmisano氏が,中国で現地時間11月14日に明らかにした。また米メディア(CNET News.com)によるとPalmisano氏はこの発表を仮想世界「Second Life」内でも行うという。

 新事業のアイデアは,同社が今夏実施した協業的イノベーションに対する取り組み「InnovationJam」で生み出されたもの。IBM社員,大学,提携企業,顧客企業など,104カ国の15万人以上が,オンラインのブレインストーミングに参加した。「当社の基礎研究技術をさまざまな角度から検討し,ビジネス機会をもたらす応用について,4万6000件以上のアイディアが提出された」(同社)。

 米メディア(InternetNews)によると,同社はその中から選んだ10件のアイディアにそれぞれ約1000万ドルずつ出資し,新事業として推進する。

 IBMが発表した新事業の概要は次の通り。

・Smart Healthcare Payment Systems(スマートな医療費支払いシステム):スマート・カードなど小型のパーソナル機器を使用して,会計処理,保険請求処理,電子医療記録の更新などを自動処理できるようにする

・Simplified Business Engines(簡易ビジネス・エンジン):中小規模企業が自社特有のニーズに合わせて開発したアプリケーションを容易に利用できるように,パッケージ化したWeb 2.0のサービスおよびブレード・サーバーのセットを開発する

・Real-time Translation Services(リアルタイム翻訳サービス):潜在需要が高い用途,業界,環境向けに,主要言語間の高度なリアルタイムの翻訳機能を提供する

・Intelligent Utility Networks(インテリジェント・ユーティリティ・ネットワーク):世界の電力供給網の信頼性と管理運用性を向上するために,リアルタイムの監視,制御,分析,シミュレーション,最適化機能をネットワークに組み込む

・3D Internet(3次元インターネット):次世代プラットフォームとして利用できるように,仮想世界とゲーム環境を組み合わせたシームレスな標準準拠の3次元インターネットを構築する

・“Digital Me”(デジタル・ミー):私的コンテンツの保管,管理,長期利用を簡略化する,安全かつ使いやすいサービスを創出する

・Branchless Banking for the Masses(新興市場向け無店舗バンキング):アクセスが困難な遠隔地に暮らす顧客向けに,既存および新規の金融機関が基本的な銀行サービスを提供できるようにする

・Integrated Mass Transit Information System(公共交通機関の統合情報システム):公共交通機関の利便性を向上するために,交通網に関するリアルタイム・データを統合,管理,発信するオンデマンド・システムを構築する

・Electronic Health Record System(電子医療記録システム):個人の医療記録の自動更新と広範なアクセスを提供し,患者データと医療費負担者/医療提供者間の処理システム統合を可能にする,標準インフラを構築する

“Big Green” Innovations(ビッグ・グリーン・イノベーション):環境分野における新たなビジネス機会に対応できるように,IBM内に新たな事業部門を設置する

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