図1●Visual Studio 2005に統合されたVMware Workstation 6のVirtual Debugger機能の設定画面
図1●Visual Studio 2005に統合されたVMware Workstation 6のVirtual Debugger機能の設定画面
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 米VMwareは,同社が米国ロサンゼルスで開催中のVMworld 2006で,デスクトップ向け仮想化ソフトの次世代版「VMware Workstation 6」に実装する新機能を明らかにした。Workstation 6は,最も先進的な仮想化プラットフォームをめざし,ローカルPCの操作性やプログラム開発の効率を向上させる機能などを備える。

パラバーチャライゼーションに対応

 仮想化プラットフォームとしての新機能には,パラバーチャライゼーション対応が挙げられる。パラバーチャライゼーションとは,あらかじめ仮想化向けに変更を加えたOSだけが動作する仮想化方式。Xenが代表的だが,Xenの方式はLinuxの構造に依存している。それに対してVMwareは,「VMI(Virtual machine interface)」と呼ぶパラバーチャライゼーションのための,ゲストOSとハイパーバイザ(仮想マシン・モニター)との間の標準インターフェースを業界団体と協力して定めている。VMIに対応したOSは,VMI対応の任意のハイパーバイザ上で動作するだけでなく,物理マシン上でもそのまま動作するという。

 パラバーチャライゼーションではゲストOSに変更を加えるため,ゲストOSをそのまま動作させる従来のVMware Workstationの方式(バイナリ・トランスレーション)に比べて互換性が乏しい。だが,仮想環境にありながら実機とほぼ同じ処理性能が出るなど利点がある。さらにVMIに対応したVMware Workstation 6の方式では,ゲストOSをそのまま実機でも動作させられるなど,パラバーチャライゼーションながら実機との互換性もXenなどの方式に比べて高いとしている。

 VMware Workstation 6では,仮想化方式として,従来のバイナリ・トランスレーション,AMD-VやIntel VTを利用したハードウエア・サポート方式,に加えてパラバーチャライゼーションと3つの方式を利用できるようになる。VMwareは,「柔軟なアーキテクチャを提供し,実行される内容に応じてユーザーは最適な動作モードを選択できる」としている。

ソフトウエア開発を合理化

 ソフトウエア開発に便利な機能も2つ追加される。1つは,仮想マシン上での処理を記録し,後からそれを再生する機能。仮想マシン上でテストすれば,再現性のないバグが見つかったときでも,常にテスト中の操作を記録しておくことで,バグが発生したときの状態をいつでも再現できる。さらに,GDB(Linuxなどで利用されているデバッガ)でトレース可能である。

 もう1つは,Visual StudioまたはEclipseの統合開発環境(IDE)に統合可能なデバッガである。開発したプログラムを仮想マシン上に自動的にインストールし,ホスト上のIDEからリモート・デバッグを開始できる。デバッグを開始/終了する際に自動実行する処理やスクリプト/プログラムを指定することもできる。

Windows VistaやUSB 2.0に対応

 そのほかの主な改善点は以下の通りである。

・マルチ・ディスプレイに対応
・4コア構成の仮想マシンが可能(試験的対応)
・ホストOSおよびゲストOSとしてWindows Vistaに対応
・ゲストOSとしてSolaris 10に対応
・仮想マシン上でUSB 2.0(EHCI)に対応
・仮想マシン上でギガ・ビット・イーサネットに対応
・1つの仮想マシン当たりの最大メモリーを8Gバイトに拡大
・ホストOSとゲストOSが異なる場合でも,ドラッグ&ドロップによるファイルのコピーが可能
・VMware Workstationのユーザー・インターフェースを出さずに,バック・グラウンドで仮想マシンを稼働可能
・リモートのVNCクライアントから仮想マシンを遠隔操作可能
・VMware Workstationを操作する,Cベースの標準APIを用意
・物理マシンから仮想マシンに変換したり,Virtual PCの仮想マシン・イメージやSymantec LiveStateのデータをVMware Workstationの仮想マシン・イメージに変換する「VMware Converter 3」を統合

 なお,出荷時期や価格は未定である。