米国の2つの公益擁護団体が米国時間11月1日,オンラインのターゲット広告について,米連邦取引委員会(FTC)に苦情を申し立てた。企業がオンライン広告を表示するために消費者のデータを収集することは,プライバシ侵害にあたる可能性があるというもの。両団体は,オンライン広告手法について正式な調査を実施するようにFTCに要請した。

 今回の申し立てを行ったのは,Center for Digital Democracy(CDD)とU.S. Public Interest Research Groups(US.PIRG)の2団体。50ページにおよぶ申立書では,米国のオンライン広告市場が,データ収集やインタラクティブなマーケティング・システムによって形成されていると指摘。ターゲット広告を表示するために,企業が積極的にインターネット・ユーザーの訪問先を追跡して,データ・プロファイルを作成していると説明している。

 両団体は,現行の個人情報開示のポリシーについても,不適切だと指摘している。収集されるデータと用途が,消費者に伝えられていないという批判だ。多くの企業は,個人を特定できない情報だけを収集していると主張する。しかし両団体は,名前や住所を特定できなくてもオンライン追跡と分析技術によって,企業が消費者のオンライン上の行動を把握していると指摘している。

 CDDの事務局長であるJeff Chester氏は,「過去数年間にわたり,FTCがオンライン市場の展開に注意を払っていなかったため,すべての米国人のプライバシが危険にさらされる結果となった」と指摘。「FTCは,もっと前にWeb分析,オンライン広告ネットワーク,行動ターゲット広告といった消費者のプライバシを脅かすデータ収集手法について警告すべきだった」とコメントしている。

 消費者をこれらの手法から保護するため,両団体は第1段階として,MicrosoftのadCenterサービスにおけるデータ収集とターゲットを絞った広告手法を調査するようFTCに要請している。特に,MicrosoftがWebメール・サービスHotmailから収集した情報をadCenterのターゲット広告に利用するのは問題だと主張している。

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