米Microsoftの副社長であるJ Allard氏の頭がMP3プレーヤの「Zune」でいっぱいになっていたあおりを受け,もう一方の担当製品であるゲーム機「Xbox 360」が市場でつまずくという予測が発表された。米Lazard Capital Marketsのアナリストによると,Microsoftは既に1回下方修正した2006年のXbox 360販売目標を達成できないという。このつまずきは,様々な製造トラブルで苦境にあるライバルの「PlayStation 3」に対し,追い付く時間を与えてしまうことになるだろう。

 LazardアナリストのColin Sebastian氏は「Xbox 360の販売は,現在の市場見通しを下回るだろう」と述べる。「北米における年初から現在までの販売状況からみて,Microsoftが販売できるXbox 360は450万台弱になるだろう」(Sebastian氏)

 Xbox 360は発売から最初の4カ月くらいまで深刻な供給不足に陥り,全世界で数百万人が入手できずにいた。Microsoftは,2006年半ばにこの問題を解決したようだ。ところが今度は,消費者のゲームに対する関心の低下が,製造トラブルよりも大きな悪影響を及ぼしているようにみえる。「その結果,Xbox 360と,初代『Xbox』や『Nintendo GameCube』,『Sony PlayStation 2』といった旧型ゲーム機の販売予測が下がっている」(Lazard氏)。ただしLazard氏は,ソニーのPlayStation 3や任天堂の「Nintendo Wii」などほかの次世代ゲーム機の販売状況は予測を上回るとみている。

 元々Microsoftは,2005年11月の発売から6カ月以内に最大600万台のXbox 360を販売する計画だった。その後,予測台数を550万台に減らし,「ユーザー数は2006年末までに1000万人を超える」と発表した。「現在のところ,2006年通期の販売台数は450万台程度とみられ,最初の目標にはとても届かない」(Lazard氏)

 J Allard氏は,「Microsoftの次の大事業」であるZuneにかかり切りだ。不運にもZuneは,それ自体にいくつか問題を抱えているらしい。米Jupitermediaの調査事業部門であるJupiter Researchのアナリストは「今後も12~18カ月は,米Apple Computerの『iPod』がMP3市場の支配を続ける」と見込む。「一方Zuneには,iPodにない主要機能は1つしかない。Zune同士が無線接続するという独自機能は,魅力に欠ける」(Jupiter Researchのアナリスト)