米Apple Computerが先日,Windowsに感染するウイルスが少数のiPodに混入した件について,「Windows がこのようなウイルスに対してぜい弱であることを遺憾に思う」という声明をWebサイトに掲載した(関連記事:ビデオ対応iPodの一部がWindowsウイルスに感染)。その翌日,米Microsoftとセキュリティ専門家らが,この声明に対して常識的な反論を述べている。

 Microsoftでマルウエア混入製品の出荷を防ぐ作業の担当ソフトウエア技術者であるJonathan Poon氏は,「AppleがWindowsや,暗に当社の品質管理問題を非難したのは誤り」と述べている。

 Poon氏は個人で運営するブログに「今回のウイルスがどのプラットフォーム由来であるかは問題でない」と書いた。「iPodでウイルスが見つかったということは,品質チェック,特にiPodに格納するコンテンツの確認方法に問題があったということだ。さらにこのことから,製造工程でiPodに入れるコンテンツのイメージを別のデバイスにコピーする元となるデバイスが,Appleのプレス・リリースを借りると,『大部分のWindowsパソコンに添付されている最新ウイルス対策ソフトウエア』の入っていないパソコンにほぼ間違いなく接続されていたと分かる」(Poon氏のブログ記事)

 Poon氏は,今回の件に対してAppleが発表した奇妙な子供じみた公式見解を,日本マクドナルドが10月第3週に起こしたよく似たトラブルと比較した(関連記事:賞品のMP3プレーヤにウイルス,マクドナルドが1万台を回収へ)。「日本マクドナルドは,(Appleの)わずか数日前に同様のトラブルに見舞われた。当然プレスリリースを出して謝罪し,『Windowsが問題の原因である』などとほのめかさなかった。さらに,日本マクドナルドは対象となるウイルス専用の修復手順を提示したが,Appleは無料または試用版のウイルス検査ツールへの一般的なリンク集を示しただけだった」(Poon氏のブログ記事)

 Microsoft関係者以外の人々も,Appleの対応には大きく失望した。企業/家庭向けセキュリティ・ソフトウエアを全世界で販売しているESETの技術教育担当ディレクタであるRandy Abrams氏は自身のブログに,「今回の件でみられたAppleと日本マクドナルドの相違は,当初よりもAppleを困惑させている」と書いた。「Appleは問題を理解できていないようだ。iPodのウイルス混入自体は問題でない。問題は,Appleが自分たちの出荷しているものを理解していないことだ。日本マクドナルドは技術を把握しなくてもよいと思う。しかしAppleがそれでは許されない」(Abrams氏のブログ記事)

 「日本マクドナルドは責任を認めてきちんと対応した。AppleはMicrosoftに言及して批判をそらそうとした。われわれが問題視しているのは,セキュリティ対策が完全に欠如していた製造現場である。さらに,製造時に基本的な品質保証と適度な品質管理の励行が完全に失敗したことである」(Abrams氏のブログ記事)