国際レコード産業連盟(IFPI)は,17カ国において,違法に音楽ファイルを交換したPtoPユーザーを相手取り,新たに約8000件の訴訟を起こした。IFPIが英国時間10月17日に明らかにした。提訴は,著作権侵害の抑止およびインターネット上における合法的な音楽の利用を促進するキャンペーン強化の一環として行われたもの。

 訴訟の対象となったのは,アルゼンチン,オーストリア,ブラジル,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,中国,アイスランド,アイルランド,イタリア,メキシコ,オランダ,ポーランド,ポルトガル,シンガポール,スイスの17カ国。今回初めてブラジル,メキシコ,ポーランドも対象となった。

 IFPIによると,ブラジルでは2005年に違法にダウンロードされた楽曲数が10億曲を超えており,2000年に7億2470万ドルだったレコード会社の売上高が,2005年には3億9400万ドルまで落ち込んでいるという。

 IFPIの訴訟は,「BitTorrent」「eDonkey」「DirectConnect」「Gnutella」「Limewire」「SoulSeek」「WinMX」などのPtoPネットワークを利用して,音楽ファイルをアップロードしているユーザーをターゲットとしている。アルゼンチン,オーストリア,ブラジルでは,刑事と民事の両方で訴訟を起こしており,メキシコでは,違法なファイル交換をサポートしたサイバー・カフェの所有者も起訴の対象となっている。

 現時点で,IFPIによる米国外の訴訟件数は,1万3000件を超えている。2300人以上は,すでに音楽ファイルの違法交換分について代金を支払っているという。これらの示談金の平均金額は2420ユーロとなっている。

 IFPIの発表資料によれば,法的な手段以外に,ウイルスやスパイウエアなども違法なファイル交換活動の抑制力となっているという。調査によると,英国では,ファイル交換プログラムの利用を減らす予定,または止めると答えた10人中6人が,理由として「ウイルス感染に対する恐れ」を挙げている。日本では,PtoPネットワークの利用を止めたインターネット・ユーザーの46%が,ウイルスを理由に挙げている。米国ではこの割合が20%,ポーランドでは25%だった。

 また,IFPIでは,キャンペーン活動の一環として,子供にオンラインの音楽について正しい知識を与える小冊子を11言語で用意し,15カ国で配布しているという。そのほかにも,ファイル共有プログラムを削除または遮断するソフトウエア「Digital File Check」をIFPIのWebサイトから無料で提供している。

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