米司法省(DOJ)は,米AT&Tによる米BellSouthの買収計画を承認した。AT&Tが米国時間10月11日に明らかにしたもの。

 AT&TとBellSouthは2006年3月,両社が買収計画に合意したことを発表。両社は株主総会を開催し,株主から計画の承認を受けていた。

 取引は株式交換方式で行い,買収総額は約670億ドルと見込まれる。BellSouthの株主は,BellSouth株式1株につきAT&T株式1.325株を受け取る。

 この買収により,2005年にAT&Tと合併した米SBC CommunicationsとBellSouthの合弁会社である米Cingular Wirelessの所有権を一本化し,管理および運営体制の強化を図る。AT&Tブランドのもとで,より効率的なマーケティングとサービスを提供するとしている。
 ただし買収の実現には,米連邦通信委員会(FCC)の承認を受ける必要がある。米メディア(CNET News.com)によると,FCCは買収を認めるかどうかの投票を米国時間10月12日に実施する予定という。

 別の米メディア(internetnews.com)によると,AT&TとBellSouthが合併すると,サービス地域22州,加入電話の利用者数は7000万人で米国最大の電話会社となる。ブロードバンド・サービス利用者数も910万人で,米Comcastの930万人に次いで第2位の規模になるという。さらにCingular Wirelessの携帯電話サービス利用者数は5730万人で,米国最大手となる。

 DOJの決定を受けて米EarthLinkは同日,AT&TとBellSouthの合併に懸念を表明した。EarthLink公共政策担当上級副社長のChris Putala氏は「米国史上最大となる電気通信サービス会社の合併であるAT&TとBellSouthの計画に対し,DOJは要求されていた控えめな保護策を拒絶し,消費者や小企業を切り捨てた」と述べた。

 そのうえでEarthLinkはFCCに対し,音声電話サービス契約を付帯させないDSLサービスなどの規制を検討するよう求めた。

[発表資料(AT&T)]
[発表資料(EarthLink)]