米Broadcomが米QUALCOMMを相手取って起こしていた特許侵害訴訟において,米国際貿易委員会(ITC)の判事はBroadcomの主張を一部認める判決を下した。Broadcomが米国時間10月10日に明らかにした。

 判事は,判決でBroadcomが主張しているQUALCOMMによる5件の特許侵害について,3件で特許が侵害されていると認めた。また,QUALCOMMがBroadcomの特許を侵害するチップとチップセットを輸入したことで,米貿易法に違反していると判断した。ITCは,委員会の審議を経て特許侵害に該当するチップの米国への輸入禁止命令とともに,すでに国内に持ち込まれた製品に関して販売禁止命令を発行すると予想される。

 Broadcomは2005年5月,ITCに対して「QUALCOMMが,当社の特許5件を侵害しているICやその他製品を輸入するという不公正な貿易を行った」と訴えを起こし,調査と該当製品の輸入禁止および販売禁止命令の発行を要求していた。

 今回の判事の仮決定は,6人のメンバーで構成する委員会に伝えられ,2007年2月9日までに最終な決定が下される。Broadcomは,委員会に対し,判事が特許侵害に該当しないと判断した特許2件の見直しと,判事による輸入禁止勧告における該当製品の範囲の見直しを要求するという。

 Broadcomは,特許訴訟において,これまでにQUALCOMMがベースバンド,RF(無線周波数)技術,電源管理製品において18件の特許を侵害していると主張している。QUALCOMMは,Broadcomが同社の特許10件を侵害していると主張している。

 Broadcomは,欧州においてQUALCOMMが反競争的運営を行っているとして,スウェーデンのEricsson,NEC,フィンランドのNokia,松下電器産業傘下のパナソニック・モバイル・コミュニケーションズ,米Texas Instrumentsの5社とともに,欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)に調査を申し立てている。

 また,同社は9月29日,QUALCOMMが米国の独占禁止法に違反していると訴えていた訴訟において,ニュージャージー州の連邦地方裁判所がBroadcomの主張をすべて棄却したのに対し,米第3巡回控訴裁判所に提訴したことを明らかにしている。

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