米インテルは、コアを4つ備えて処理能力を高めた「Quad Core(クアッドコア)」の新CPU「Core 2 Extreme」を2006年11月、同じタイプでメインストリーム向け新CPU「Core 2 Quad」を2007年第1四半期に出荷することを明らかにした。
同社は2006年9月26日から3日間、米国サンフランシスコで開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)」を開催している。新CPUについては、社長兼CEOであるポール・オッテリーニ氏が初日の基調講演で明らかにしたもの。同氏の講演概要は以下の通り。また、今回のIDFのメインテーマは「Energy-Efficient Performance(エネルギー効率のよいパフォーマンス)」、消費電力を抑えながら処理能力をいかに高めていくかが主な論点となっている。
Core 2 Duoは2カ月で500万個を出荷
まずオッテリーニ氏は「少し前までは、もうCPUパワーは必要ないと言われてきたが、最近になって、またパフォーマンスが必要な時代になってきた」とし、パソコンの使い方が以前と変わってきたことを指摘。CPUパワーはまだまだ求められていると主張した。
具体例は、Googleのデスクトップ検索やゲーム、ビデオ投稿サイトの「YouTube」など。また、Mac OS XやWindows Vistaでも、より処理能力の高いCPUが必要という。パソコンで扱う動画も高品位な画質へ移行しつつあり、今後はそれが標準になる。高品位な動画を快適に扱うには、これまでより8倍ものCPUパワーが必要になるという。
このように、CPUではより高い処理能力が必要になる。半面、CPUの消費電力を無制限に上げることはできず、これまで以上にエネルギー効率がよい製品が必要になってくる。
この両方の要求に応えるのが、既に出荷しているCore 2 Duoや、今後出荷する新しいCPUであるという。オッテリーニ氏によれば、製品発表から2カ月で500万個のCore 2 Duoを出荷しており、「これほど速いスピードで出荷したCPUは今までになく、今年の夏は非常に忙しかった」とのこと。
2006年11月にQuad CoreのCPUを投入する
コアを4つ備えることでさらに処理能力を高めたQuad Coreの新CPU「Core 2 Extreme」は11月に出荷する。当初はゲーマー向けのパソコンやハイエンドのサーバーなどで採用されるという。2007年1月にはメインストリーム向けのパソコン用となる「Core 2 Quad」も投入する。オッテリーニ氏は「ゲームの分野では大きな存在となるだろう」と語り、Core 2 Extreme搭載パソコンによるデモで、その処理性能の高さをアピールした。
CPUの製造プロセスもさらに向上する。現在のCPUは65nmで製造しているが、2008年に登場する次世代のCPU「Nehalem」(開発コード名)では45nmになり、そして2010年に登場する予定の「Gesher」(開発コード名)では32nmになるという。「W(ワット)あたりのパフォーマンスこそが主要な課題である」とエネルギー効率の重要性を訴えた。
2007年には消費電力を半分に
基調講演の後半は、モバイル市場への取り組みや、通信技術について語った。モバイル市場でも「エネルギー効率がノートパソコンではより重要になっている」とし、いかに消費電力を下げながら、処理速度を上げていくかについて述べた。
具体的には、NAND型のフラッシュメモリーを用いて高速化と低消費電力を実現する「Robson」、そしてワイヤレスの通信環境を高速化するためにIEEE 802.11nやWiMAXを搭載し、個人がどこでもブロードバンドでインターネットに接続するデバイスを提供していく。WiMAXについては2007年に周辺機器として、2008年にはチップに統合してCentrinoブランドに入ってくるとした。また、消費電力について、2006年には5Wのものを、2007年には2.5W、2008年には0.5Wへと10分の1へと下げ、チップの大きさも小さくなるとした。
ブロードバンドを使ったインターネットについては、車載のパソコンとノートパソコンとを連携させて近くにあるコーヒーショップを探すなどのデモを行い、ワイヤレスのブロードバンド環境によってユーザーがどんなメリットを得られるかを強調した。
最後は、インテルが世界の30カ国以上で行っている「WORLD AHEAD」という教育プログラムについて。ブロードバンド環境を利用できない発展途上国の児童10億人が最先端のテクノロジーに触れる機会を作っているという話題で、基調講演を締めくくった。