米Intelの社長兼CEO(最高経営責任者),Paul Otellini氏は米国時間9月26日のIDF基調講演の中で,モバイル向けの関連技術についても触れた(基調講演の関連記事)。

 特に大きく紹介したのが,新型のUMPC(Ultra-Mobile PC)だ。新たにWiMAXの通信機能,デジタル・カメラ機能を内蔵。5インチのディスプレイを搭載し,その上でさらなる小型化を図ったものという(写真1)。2007年から2008年にかけて,各メーカーがUMPCの新機種を投入していくという。「2008年にはシングルチップ化も進め,さらなる小型化と低消費電力化を実現する。2008年時点では,バッテリの寿命は現在の3倍に延びるだろう」(Intelでモバイル分野を担当するシニア・バイスプレジデントのAnand Chandrasekher氏)。

写真1●新型のUltra-Moblie PC(UMPC)

 UMPCは韓国のSamsung Electronics製などいくつかの製品が市場に投入されている。主要な製品の質量は1キログラム弱,ディスプレイのサイズは7インチ前後。現時点でノート・パソコンと比べた優位性は大きくない。

 Intelは,UMPC関連で独Volkswagen社との共同プロジェクトを進めており,講演ではUMPCと車載端末との連携機能を紹介した。UMPCから車載端末へ目的地の情報を転送したり,UMPCで聴いている音楽サービスを車載端末で継続して利用する,といったデモを実演した。

 加えて,以前から言明しているモバイル・パソコン向けの新しいプラットフォーム「Santa Rosa(開発コード名)」の現状を報告した(写真2)。Santa Rosaは現在の「Centrino Duo」の次期版にあたるもので,2007年に投入予定である。次世代の無線通信である「IEEE802.11n」やWiMAX,NAND型フラッシュメモリによる動作の高速化技術「Robson(開発コード名)」,企業向けのクライアント管理機能などを備える。

写真2●次世代モバイル向けプラットフォーム「Santa Rosa(開発コード名)」の構成要素

 Robsonについては「アプリケーションの起動時間や,ノート・パソコンのレジュームからの復帰時間は2倍早くなる」(Otellini氏)と説明。WiMAXによる通信については,2008年にも無線LANとWiMAXのチップを統合化するという。

 併せてインテルは社会貢献活動の一環として,「Classmate PC」を紹介した(写真3)。これは主に発展途上国での利用を想定した教育用のノート・パソコンで,NAND型フラッシュメモリによる主記憶装置を備え,耐久性を高めている。2007年第1四半期に本格的に提供開始する予定で,すでにナイジェリアの学校でテスト的に利用しているという。米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボが進めているLinuxパソコン「100ドルPC」と似ているが,「ClassmateはWindowsが動き,各種のアプリケーションが動くれっきとした“フルPC”」と説明した。

写真3●Otellini氏が手に持っているのが「Classmate PC」だ