米Intelがカリフォルニア州サンフランシスコで開催中の開発者向け会議Intel Developer Forum(IDF)Fall 2006で米国時間9月26日,クアッド(4)コア・プロセサのパソコン向けモデル「Intel Core 2 Extreme quad-core processor」および「Intel Core 2 Quad processor」,サーバー向けモデル「Quad-Core Intel Xeon processor 5300」「Quad-Core Intel Xeon processor L5310」や,80個の浮動小数点演算コアを内蔵する演算速度1テラFLOPSの試作プロセサなどを発表した。

 Intelは,まずゲーム・マニア/ハイエンド・ユーザー向けのクアッドコア版Intel Core 2 Extremeを11月に出荷開始する。同プロセサの処理性能は,現行のIntel Core 2 Extremeに比べ70%高いという。続いて,通常パソコン向けのCore 2 Quadプロセサを2007年第1四半期に出荷する。

 米メディア(InfoWorld)によると,米Dellとその傘下の米Alienware,米Gateway,米Velocity Micro,米VoodooPCなどのメーカー13社が,クアッドコア・プロセサを搭載したパソコンの販売を計画しているという。

 サーバー向けのクアッドコア・プロセサは,Quad-Core Intel Xeon 5300製品系列を2006年中,ブレード・サーバー向けという消費電力50Wの省電力プロセサQuad-Core Intel Xeon L5310を2007年第1四半期に出荷する予定。

 Intelが試作した80コアのプロセサは,動作周波数が3.1GHzで,ダイの面積は300平方ミリメートル。記憶容量20MバイトのSRAMダイと積層して単一パッケージに封止した。同SRAMと演算コアの間の帯域幅は毎秒1Tバイト以上あるという。

 「当社が11年前に世界で初めてテラFLOPS級のスーパーコンピュータを開発した際,85基以上の大きなキャビネットに1万個弱の『Pentium Pro』プロセサを入れ,設置面積は約2000平方フィート(約186平方メートル)あった」(Intel社長兼CEOのPaul Otellini氏)。

 またIntelは,45nmプロセス・ルールによる量産を計画通り2007年下半期に始められるという見通しを明らかにした。45nm対応工場は総面積50万平方フィート(約4645平方メートル)のクリーン・ルームを備え,90億ドル以上の建設費を投じたという。

 現在,45nmプロセスで製造するデスクトップやモバイル,エンタプライズ向け製品15種類の開発を進めており,その一部の設計は2006年第4四半期に完了できるとみる。

 IntelはCoreの後継マイクロアーキテクチャとして,2008年に45nmプロセス対応の「Nehalem」(開発コード名),2010年に32nmプロセス対応の「Gesher」(同)を利用可能とする計画である。「2010年までには,消費電力当たりの処理性能を現行プロセサに比べ300%高められる」(Otellini氏)。

 そのほかのIDFでの主な発表は以下の通り。なお,今回初めて米Apple ComputerがIDFに登場した。

・米DIRECTVがエンターテインメント・パソコン向け技術ブランド「Intel Viiv」対応のデジタル・メディア・アダプタ(DMA)機能付きセットトップ・ボックス(STB)「DIRECTV Plus HD DVR」を,2006年12月より利用可能とする。同STBを使うと,Intel Viiv対応パソコンから画像や音楽などを家庭のテレビに直接配信できる

・Intelは,Intel ViivおよびCore 2 Duoプロセサ対応のパソコン・デザイン・コンテスト「Intel Core Processor Challenge」を開催する。賞金総額は100万ドル。結果は2007年3月20~22日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催する予定のIDF Spring 2007で発表する

 さらにIntelはマサチューセッツ州ボストンで開催中のEmbedded Systems Conferenceで同日,組み込み用途に使うプロセサ「Intel Core 2 Duo E6400」「同T7400」のサポート期間を延長し,5~7年間にすると発表した。これにともない,E6400と組み合わせて使うチップセット「Intel Q965 Express」のサポート期間も延長する。なおT7400用チップセット「Intel Q945 Express」については,既にサポート期間延長を表明していた。

[発表資料(概要)]
[発表資料(80コアの試作プロセサ)]
[発表資料(DIRECTV Plus HD DVR)]
[発表資料(Intel Core Processor Challenge)]
[発表資料(Core2 Duo E6400/T7400のサポート期間延長)]