米Hewlett-Packard(HP)は米国時間9月22日,同社会長のPatricia Dunn氏が辞任したと発表した。CEO兼社長のMark Hurd氏が同職を引き継ぐ。Dunn氏は取締役会からも退いた。

 HPは,情報漏えいを巡る調査において,身元を偽って不正に通話記録などを入手する「プリテキスティング」と呼ぶ手段を使用したとされる。この問題については当局も調査に乗り出しており,米下院エネルギ商業委員会の監視および調査小委員会は9月28日に公聴会を開く予定(関連記事)。Dunn氏をはじめ,HP法務顧問のAnn Baskins氏,グローバル・セキュリティ担当マネージャのAnthony Gentilucci氏,上級顧問のKevin Hunsaker氏,コンピュータ・セキュリティ調査担当Fred Adler氏などが証言を求められている。

 HP取締役会は問題の調査実施について,「取締役会は情報の流出源を見つけることが重要だと考え,Dunn氏はそのために策を講じていると取締役会に報告した。我々は彼女の意図,誠実さ,倫理にまったく疑問を抱かなかった」と説明。しかし,「事態を前進させるためには,Dunn氏が取締役会に残ることで生まれる混乱を考えると,同氏が今辞めることが当社にとって最大の利益になると確信する」と述べた。Dunn氏は2007年1月18日に辞任することが,9月12日の取締役会会議で決定していた。

 またHurd氏は同日,不正調査の問題について記者会見を行った。米メディアの報道(NYTimes.com)によると,Hurd氏は「役員会からの情報流出を究明するために使われた手段を調べたところ,非常に問題となることが見つかった」と語った。ただしHurd氏は,情報源追究の調査実施について同氏のために用意されていた報告書を読まなかったとし,「目を通すべきだった」と述べた。

 別の米メディア(internetnews.com)は,同会見で弁護士事務所Morgan, Lewis&BockiusのパートナであるMike Holston氏が,外部調査員が実施した調査手法を説明したと報じている。それには,プリテキスティングを実行するための社会保障番号の取得,電子トレーサの使用(ただしトレーサが実際に動作したという証拠はない)などが含まれる。また,Hurd氏とDunn氏,Baskins氏は28日に公聴会で証言することに同意したという。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]