ドメイン名やIPアドレスの管理を行っている非営利組織ICANNや,米VeriSignによる「.com」ドメイン管理の独占状態に関する議論が,米国時間9月20日に米連邦議会において行われた。米Go Daddy Softwareや複数の上院議員が,現行の契約が競争をさまたげるものだとして批判した。

 小委員会は,インターネット統治とICANNの将来的なあり方について議論することを目的として公聴会を開いた。GoDaddyの法律顧問であるChristine Jones氏は,「ICANNとVeriSignが世界のインターネット・ユーザーの信頼を裏切る行為を行っており,消費者の信頼に対して脅威を与えている」と意見を述べた。

 同氏は,ICANNの取り組みに透明性が欠けていると指摘。.comの新しいレジストリ契約がその一例であり,「交渉の際にICANNとVeriSignは双方に利益をもたらすポリシーを作成し,利害関係者の意見を聞き入れることなく契約延長の決定を発表した」とコメントしている。

 ICANNは3月に,GoDaddyやTuCowsといったレジストラに対する.comドメインの管理費用を年7%値上げできる権利をVeriSignに認めた。レジストラ団体は,この取り決めを阻止するために連邦地裁に提訴している。VeriSignは現在,1ドメインあたり6ドルの管理費用を徴収しており,.comの管理費用だけで年間でおよそ3億23400万ドルを得ている。

 オレゴン州選出のGordon Smith上院議員は,「.comドメインの登録業務により収入源が永久に保証されている」と批判されているVeriSignの行為が続けられることに対して疑問を投げかけた。

 Jones氏は,「.netのレジストリ契約が公開入札になった後,同ドメインの料金は値下がりした。この契約が更新されれば,VeriSignは膨大な利益を得るだろう」と述べている。

 Go Daddyは,米電気通信情報局(NTIA)が介入し,ICANNとVeriSign間の契約更新プロセスを遅らせることを提案している。小委員会は,この問題に対して公式な措置を講じることを否定した。しかし,商務委員会の会長であるTed Stevens上院議員は,「この問題について,より詳しく知る必要がある。リスニング・セッションを開き,この取り決めに対する意見を聞きたい」としている。

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