ハイブリッド・シリコン・レーザー
ハイブリッド・シリコン・レーザー
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 米Intelと米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究グループは,シリコン(Si)製LSI内でレーザーを発振できる素子「ハイブリッド・シリコン・レーザー」の製造に成功した。Intelが米国時間9月18日に明らかにしたもの。

 製造した素子は,リン化インジウム(InP)によるレーザー発振部と,Siによる光導波路を単一LSIとして統合した。レーザー発振部から生成されるレーザー光は,LSI内部のほかのモジュールや外部に導ける。

 Siは光配線として使えるほか,光の検出や変調,増幅にも利用できるが,レーザー光の発振効率は低い。発振効率の高いInPは光通信機器でよく使うものの,Siと異なる製造プロセスを必要とする。そのため両材料を用いる素子の製造コストは非常に高く,量産できずにいたという。

 IntelとUCSBは低温の酸素プラズマを用い,およそ原子25個分という薄い酸化層をSiとInPの両表面に設けた。この酸化層を加熱して圧力を加えることで「ガラスの接着剤」(Intel)の役割を持たせ,両材料を単一LSI融合させることに成功した。

 標準的なSi半導体の量産プロセスを使っているため,製造コストを大幅に削減できるという。「将来のコンピュータやデータセンターの内部および周辺で利用可能な低コスト/広帯域のSiフォトニクス素子を製造するにあたり,今回の成功は大きな障壁を取り除く」(Intel)。

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