米Microsoftは9月第一週,「Windows Vista」の製品候補版1(RC1,Release Candidate 1)に関するミーティングを複数回行い,製品版に関する計画を明らかにし始めた。Microsoftは公式に日程を認めたわけではないが,遅くとも2006年10月25日までに最終版を完成させるという計画を変えていない。2007年にリリースされるWindows Vistaの「Service Pack 1(SP1)」では,次期サーバーOS「Longhorn Server」(開発コード名)のカーネルがWindows Vistaにも組み込まれる見込みだ。

 MicrosoftはWindows Vistaの「最終版」という表現を使っているが,この用語の使い方は間違っている。Microsoftは,企業ユーザー向けに製品をリリースする10月末から,実際に販売を開始する2007年1月までのあいだに,間違いなく製造工程向けリリース(RTM:Release To Manufacturing)のコードに問題を発見するだろう。この期間中に,Windows Vista用の修正プログラムがWindows Updateで公開されるのは間違いない。

 Microsoftの製品マネージャであるChris Flores氏はミーティングで,「Windows Vistaのユーザーに何らかのサプライズを用意している」と示唆した。Flores氏は詳細に触れることを避けつつ「RTMから発売までぼんやり座っているつもりはない。2006年1月までにちょっとした趣向を考えている」と著者に話した。MicrosoftはWindows Vistaの発売イベントを企業向けと消費者向けに分ける計画だが,詳細は流動的だ。

Windows VistaはSP1でカーネルを大改修

 Microsoftは,次期サーバーOS「Longhorn Server」(開発コード名)で開発したカーネルをWindows Vistaにも組み込むために,2007年中にWindows Vistaに「Service Pack 1(SP1)」を提供し,Windows Vistaのカーネルを大幅にアップデートさせる考えである。Windows Vista用SP1に,ユーザー向けの大きな新機能が含まれるかどうかは定かでない。

 なおMicrosoftはRC1を発表した際に,その少し前に流れたWindows Vistaの価格情報が正しかったことを認めた。価格はエディションによって異なり89.95~399.00ドルで,対応する「Windows XP」のエディションと同水準となる。当然パソコンに同こんする場合の価格はもっと安い。複数のMicrosoft関係者が,Windows Vistaのなかで「Home Premium」の販売が多くなると見ている。大雑把にいうと,Home Premiumは「Windows XP Media Center Edition」と似たエディションで,様々なデジタル・メディア機能を備えることになる。

Windows Vistaに再度リリース延期の恐れ?

 リリース時期について,Microsoftは「現在スケジュール通りに作業を進めている」としたが,楽観的になりすぎないよう慎重な態度をとっている。先ごろMicrosoftのいろいろな関係者から,「当初RC1に対する反応はかなり明るかったが,フィードバックの内容から考えると,今後Windows Vistaの計画は遅れる」と聞いた。Windows Vistaは元々2003年に出荷する計画だったから,これが何度目の遅れなのかとても覚えていられない。

 ずっとRC1を使ってみたいと思っていたユーザーは,もうすぐ入手できる。Microsoftによると,テスターと緊密なパートナにはRC1を9月1日に配布済みで,MSDNとTechNet,顧客プレビュー・プログラム(CPP:Customer Preview Program)のメンバー向け配布は数日後に行うという。さらにCPPのメンバーを追加募集し,Windows VistaのBeta 2向けCPPに参加しなかったユーザーもRC1を手に入れられるようにする。Microsoftは,雑誌による配布も含めると,RC1の評価に500万人以上が参加するとみている。

 テスターはRC1以降いくつか暫定ビルドを入手するはずだが,RC1は膨大な数のユーザーに提供する最後のメジャー・リリースとなりそうだ。今もMicrosoftは,2006年中の企業向けボリューム・ライセンス販売(「2006年11月」という元のスケジュールから表現がやや後退した)と,2007年1月中の消費者向けパッケージ販売という計画を変えていない。米Amazon.comはWebサイトでWindows Vistaの出荷日を2007年1月30日としているが,Microsoftがこの日程を追認することはないだろう。しかしMicrosoftは,2006年のホリデー・シーズンに,Windows XP搭載パソコンの購入者に対し,Windows Vista発売後に割り引きアップデートの利用が可能なクーポンを提供するとしている。クーポン提供計画の詳細はまだ決まっていない。