米Broadcomが,携帯電話向け技術やLSIの販売活動などで米国の独占禁止法(独禁法)に違反したとして米QUALCOMMを訴えていた訴訟で,ニュージャージー州連邦地方裁判所はBroadcomの主張をすべて棄却した。QUALCOMMが米国時間9月1日に明らかにしたもの。

 Broadcomは2005年7月,「QUALCOMMが携帯電話向けの技術やLSIを提供する際に,いくつもの排他的かつ非競争的な販売活動を展開した」と主張し,QUALCOMMを提訴した。さらにBroadcomは,「QUALCOMMが業界標準への対応に必要な技術を提供するライセンス契約において,公正,合理的かつ差別のない条件(FRAND:Fair,Reasonable And Non-Discriminatory)を自ら破った」とし,損害賠償と,QUALCOMMの不公正な商習慣に対する終局差し止め命令を求めていた。

 これに対しニュージャージー州連邦地裁は,「(Broadcomに)指摘されたQUALCOMMの行為は,市場独占的でなく,市場独占を意図したものでもない」と判断した。

 棄却の決定を受けBroadcomは同日,係争を継続する計画であると発表した。具体的な法的手段については検討中だが,再審請求,米第3巡回控訴裁判所への提訴,修正した訴状の提出といった可能性があるという。

 なおBroadcomは,欧州連合(EU)の独禁法当局である欧州委員会(EC)に対しても,QUALCOMMによる反競争的活動の調査を申し立てている(関連記事:「米QUALCOMMの行為は反競争的」,スウェーデンEricssonやNECなど6社がECに申し立て)。

 さらにBroadcomとQUALCOMMは,特許侵害に関する係争も抱えている(関連記事:米QUALCOMM,米Broadcomに対して3件目の特許侵害訴訟)。

[発表資料(QUALCOMM)]
[発表資料(Broadcom)]