無線LAN製品の相互接続性を確認する業界団体Wi-Fiアライアンスは,仕様策定中の次世代無線LAN規格IEEE802.11nに対応した製品向け認定制度を,同規格の確定前と確定後の2段階に分けて実施する。Wi-Fi Allianceが米国時間8月29日に明らかにしたもの。第1段階の認定作業は,2007年前半に開始する予定。

 802.11nは,既存の無線LAN規格であるIEEE802.11a/b/gよりも通信速度が速く,最大600Mビット/秒でデータをやり取りできる。そのほかの主な特徴は以下の通り。

・802.11a/b/gとの相互接続性を維持
・2.4GHz帯または5GHz帯を使用
・20MHzチャネルまたは40MHzチャネルに対応
・1~4本のアンテナを利用するMulti-Input,Multi-Output(MIMO)技術を採用

 802.11nの規格策定に取り組む米国電気電子学会(IEEE)は1月19日に,同規格として初の草案を承認した。しかし規格化作業を担当するIEEEのタスクグループN(TGn)が4月末に同草案の承認を否決したため,現在は修正版の作成を進めている(関連記事:[IEEE802.11nのキーパーソンに聞く]---エアゴーの高木映児氏)。今のところIEEEは,規格の最終承認を2008年第1四半期に行う計画。

 規格がまだ確定していない段階だが,草案に対応した製品の販売が始まっている。Wi-Fiアライアンスの引用した市場予測によると,確定前の規格に対応した製品の2007年における出荷数は数1000万台になるという。これに対しWi-Fi アライアンス マネージング・ディレクタのFrank Hanzlik氏は,「802.11n草案準拠製品は混乱を生む」と警告していた。

 Wi-Fiアライアンスは,第1段階として802.11nの基本的な機能に限って相互接続性の認定を行うことで,「標準規格ベースの技術に対する我々の長期的な取り組みと,現在の市場が求めている相互接続認定プログラムとのバランスをとる」(Hanzlik氏)。

 第2段階は,802.11nの規格が正式に承認された時点で開始する。Wi-Fi Allianceは,第1段階と第2段階の各認定を受けた製品のあいだで互換性を確保できると見込む。

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