「Windows Vista」のビルド番号について8月第5週,奇妙な憶測と誤った情報が流れた。著者はこの種の情報の発生源であるとよく思われがちなので,ここで状況を明確にしておこう。Windows Vistaのビルド「5536」は,「条件付き」製品候補版1(RC1:Release Candidate 1)向けビルドであり,米Microsoftは順調にいけば今週末にテスター向け出荷を行う。また,ビルド「5552」は新しいRC1向けビルドで,9月初めに登場するはずだ(現実的には,RC1はビルド5536ベースになるだろう)。

 製品候補版の開発が進む一方で,MicrosoftはWindows Vistaのビルド・ツリーを製造段階(RTM,Release To Manufacturing)用にも分岐させた。RTM向けビルドの番号は現在5709だが,今後上がっていくだろう。簡単にまとめると,Windows Vistaの5700番台のビルドはすべてRTM用ツリーから作られる。また,「Windows VistaはWindows 6.0に相当することから,最終版のビルド番号は手作業で6000番に変えられる」と考えるのは,もっともなことだ。

 「the 2007 Microsoft Office system」の状況もよく似ている。MicrosoftはOffice 2007の「Technical Refresh版」(ベータ2をベースにユーザー・インターフェースの一部を変更したビルド)をそろそろ出荷する計画で,現在のビルド番号は「4407.1003」だ。ビルド「4409」以降のOffice 2007のビルドは,RTMツリーに属している。

 Windows Vistaに関しては,「10月までにRTMの準備が整うのか」と疑う声が多くある(疑いの程度は小さいものの,Office 2007も疑われている)。しかし外部のうわさではなく,Microsoft社内でのビルド番号の付け方をみれば,ユーザー側の準備が整っているかどうかにかかわらず,両製品とも10月の完成に向けた仕上げの段階にあることが分かるだろう。