ドイツのInfineon Technologiesは,米国政府から電子パスポート向け無線ICタグ(RFID)の供給契約を獲得した。Infineonが米国とドイツで現地時間8月21日に明らかにしたもの。「パスポート数100万冊分の注文を受けた」(同社)という。金額や契約期間など詳細については公表していない。

 電子パスポートの裏表紙に組み込むRFIDには,パスポートに印刷されているのと同じ持ち主の氏名,生年月日,有効期限,顔写真といった個人情報が記録してあり,非接触で読み取れる。

 RFIDに対する不正アクセス防止のため,RFIDを電磁遮断シートで保護し,電子パスポートを開かないとアクセスできないようにした。光学式読み取りを併用する基本アクセス制御(BAC:Basic Access Control)方式のセキュリティ機能も採用している(関連記事:【CRYPTO-GRAM日本語版】RFIDパスポートのセキュリティを再考)。さらに「(RFID内に保存する)データの暗号化を含め,50種類以上のセキュリティ手段を適用した」(Infineon)。

 米国政府は,2005年終わりに政府関係者向け電子パスポートの発給を開始し,現在は一般市民向けのパスポートも電子化しつつある。2006年末までには,新たに発給するパスポートをすべて電子化できる予定。電子パスポートの発給冊数は,導入から1年間で最大1500万冊と見込む。

 現在Infineonは,ドイツ,香港,ノルウェー,スウェーデンなど電子パスポートを導入済みまたは試験中の20カ国/地域以上に,RFIDを供給している。

 米メディア(CNET News.com)によると,Infineonの広報担当者は,米国向け電子パスポート用RFIDの供給数について「数100万個の予定だが,(米国政府が見込んでいる)1500万冊すべてをInfineon製RFIDでカバーするわけではない」と述べたという。

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