米TiVoが米EchoStar Communicationsを相手取って起こしていた特許侵害訴訟において,米テキサス州東部地区連邦地方裁判所が承認したEchoStar製DVRの恒久的な製造/販売禁止命令が,ワシントンD.C.巡回控訴裁判所によって一時差し止めとなった。

 TiVoは米国時間8月18日,米テキサス州東部地区連邦地方裁判所がTiVoの求めに応じ,全EchoStar製DVRの恒久的な製造/販売禁止命令を承認したことを明らかにした。さらに同裁判所は,EchoStarに対して約8994万7000ドルの損害賠償支払いも命じたという。

 これに対しEchoStarは,同裁判所とワシントンD.C.巡回控訴裁判所に恒久禁止命令の差し止めなどを申し立てた。テキサス州地裁のDavid Folsom判事は差し止め請求を退けたが,ワシントンD.C.巡回控訴裁は地裁の決定を覆し,恒久禁止命令の一時執行停止を決定した。これにより,EchoStarはDVR製品の販売を継続できる。「テキサス州地裁の判断は誤りであると今も確信しており,上告で逆転するはずだ」(EchoStar)。

 この係争に関するこれまでの経緯は以下の通り。

 TiVoは「time warping(タイム・ワープ)」技術に関する特許が侵害されたとして,2004年1月5日にEchoStarを提訴した。同特許は,1つの番組を録画すると同時に別の録画番組を再生する技術や,生放送番組の一時停止/早送り/巻き戻し,スロー再生を可能とするデータ保存フォーマット「TrickPlay」などを含む。

 2006年4月に米テキサス州東部地区連邦地方裁判所は,TiVoのタイム・ワープ特許の有効性を認定し,EchoStarが侵害したと判断した。TiVoは,EchoStar製DVRに対して恒久禁止命令を求めていた(関連記事:米TiVo,米EchoStarに対する「タイム・ワープ」特許侵害訴訟で勝訴)。

 なお米特許商標局(USPTO)は,訴訟の対象となっているTiVoの特許クレームについて再審査を実施し,「EchoStarが故意に侵害した2件を含め,(全クレーム61件の)ほとんどの有効性を認めた」(TiVo)という(関連記事:米TiVo,米EchoStarとの特許侵害係争で「クレーム再審査の結果を歓迎」)。

[発表資料(TiVo,恒久禁止命令の承認)]
[発表資料(TiVo,恒久禁止命令の一時差し止め)]
[発表資料(EchoStar,恒久禁止命令の承認)]
[発表資料(EchoStar,恒久禁止命令の一時差し止め)]