米Apple Computerは米国時間8月17日,中国における「iPod」組み立て工場の労働環境の調査結果を明らかにした。中国サプライヤにおける従業員の労働および居住環境が劣悪であるとする報道が数週間前に流れたことを受け,同社は監査チームを現地に派遣し,調査を実施したという。

 調査では,労働基準,作業および生活環境,報酬,超過労働,待遇などについて,従業員100人以上を面接した。内訳は,作業員が83%,監督官が9%,幹部が5%,サポート担当者などが3%。また,人事記録,給与明細,タイムカードなどを詳細にチェックした。

 その結果「サプライヤは大半の監査基準を満たしているが,一部の違反と改善すべき点が見つかった」(同社)という。主な調査報告内容は以下の通り。

・児童労働や強制労働を裏付けるものはなく,偽造IDによる不法雇用なども行われていない。

・組み立て工場の敷地外にある社員寮については,従業員の急増に追いつかず仮設状態にあるなど不十分な点が見うけられた。すでに改善策に着手しており,4ヵ月以内に居住スペースを46%拡大する。

・報酬については,現地の最低賃金以上を払っており,ボーナスを得る者もいる。ただし,支払い構造が複雑化しているため,従業員には理解しにくいものとなっている。この点が,Appleの規約に違反しているが,サプライヤは支払い構造の簡略化を進めている。10月1日をめどに,超過労働の報告および処理を自動化する予定。

・超過労働の強制はなかったが,従業員は規約で定めた就労時間より長く働いていた。同規約は超過労働の例外を認めているが,「労働と生活時間の健康的なバランスを保つことが重要だ」(同社)。

 なお,空調設備などの作業場の労働環境について,従業員はおおむね満足しているという。

 同社は,「Macintosh」とiPodのすべての組み立て工場において,年内に規約準拠を徹底させる意向である。

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