米Boeingは,航空機内および船舶内向け高速インターネット接続サービスなどを手がける広帯域通信サービス事業部門Connexion by Boeingを解散し,同事業から撤退する。Boeingが米国時間8月17日に明らかにしたもの。今後,顧客と協力し,サービス停止に向けた処理を進める。

 Boeingは米American Airlines,米Delta Air Lines,米United Airlines,英British Airways,スウェーデンScandinavian Airlines System(SAS),ドイツLufthansa,オーストリアAustrian Airlines,日本航空,全日本空輸(ANA)といった航空会社や,カナダの海運会社Teekay Shippingなどと契約し,接続サービスを提供してきた。しかしBoeing会長兼社長兼CEOのJim McNerney氏は「過去6年間Connexion by Boeingに相当な時間,リソース,技術をつぎ込んできたが,残念ながら予測と異なり機内ネットワーク接続サービス市場は実体化しなかった」と述べる。

 Boeingは撤退処理などに必要となる2006年下半期の税引き前経費を,最大3億2000万ドル(1株当たり経費は0.26ドル)と見込む。そのうち2億9000万ドルが2006年第3四半期に発生する。

 米メディア(InfoWorld)によると,Boeingは欧州とアジアの旅客機でサービスを提供しているが,米国の大手航空会社の国内線旅客機では採用されなかったという。同メディアは,米連邦航空局(FAA)が2002年5月に国内線でのサービス展開を承認したものの,2001年9月11日の同時多発テロの影響で米国内の航空会社は不振が続いていたと報じている。

 また別の米メディア(CNET News.com)によると,ほとんどの航空会社,特に米国の航空会社は,最終的に(Boeingのサービスよりも)安価な携帯電話ネットワークによるインターネット接続サービスが主流になると考え,Boeingとの契約の決定を留保していたという。

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