米Microsoftが8月第2週(米国時間),今後は仮想化ソフトウエア「Microsoft Virtual PC 2004」の米Intel製プロセッサ搭載「Macintosh」(Intel Mac)向けバージョンを作らないと発表した。Microsoftによると,同ソフトウエアの開発打ち切りを決めた理由は様々という。

 Virtual PCは,WindowsおよびWindows用アプリケーションを実行可能な仮想化パソコン環境を,Macユーザーに提供するはずだった。Microsoftはパソコン向けVirtual PCとサーバー向けバージョン「Microsoft Virtual Server 2005」を持っているのに,Intel Macにコードを移植する過程で問題にぶつかったのだ。

 Microsoftの広報担当者は報道陣向け文書のなかで「Intel Mac向けVirtual PCのように高品質な仮想化ソリューションを開発する作業は,MacのハードウエアとVirtual PCとを密に統合する必要があるため,“バージョン1.0”を作る作業とよく似ている」と説明した。この広報担当者は「Macユーザーには『Parallels Desktop』や次期『VMware Workstation』など多様な選択肢がある」と指摘した。そのうえ米Apple Computerは,Macで「Windows XP」と「Mac OS X」をデュアルブート可能とするソフトウエア「Boot Camp」のベータ版を提供している。

Office for MaxのUniversalバイナリ化は予定より早い

 今回のニュースは以前から予想されていた。ただしMicrosoftは,Macユーザーに1つだけよい話題を提供した。「Microsoft Office for Mac OS X」のIntel Mac向けバージョンの開発が,予定より早く進捗しているのだ。MicrosoftはPowerPCプロセッサに対応していたOfficeコードのUniversalバイナリ・フォーマット化をすべて終え,PowerPCプロセッサおよびIntel製プロセッサの両Mac上で動かす準備を整えた。「数千万行あるコードの100%を(Appleの開発環境である)『Xcode』に移し終え,Universal版Office for Mac完成に向けて進んでいる」(Microsoft広報担当者)

 Virtual PCと異なり,Mac用Officeには実質的な競合製品が存在しない。そしてIntelプロセッサ向けに作られたOffice for Macは,2つある最も登場が期待されているUniversal版アプリケーションのうちの1つだ(もう1つは「Adobe Photoshop」)。Office for Macの次期版は2007年にリリースする予定である。Microsoftは,Mac向けインスタント・メッセージング(IM)クライアントの新版「Microsoft Messenger for Mac 6.0」の提供も計画している。