米Citrix Systemsは2006年8月7日,米Orbital Dataを買収し,WAN高速化装置「Citrix WANScaler」を製品ラインに追加すると発表した。画面情報(シン・クライアント)サーバー・ソフト「Presentation Server」において,画面情報の高速化のほか,ローカル拠点での印刷やファイル保存など,大容量データをWAN経由で転送する需要を狙う。

 米Citrix Systemsは,遠隔拠点からWindowsを操作する画面情報端末ソフトを中核とした遠隔アクセス製品ベンダーである。画面情報端末の効果は,WAN帯域の節約とデータ漏えいの防止などである。画面情報端末以外では,TCPコネクション集約/データ圧縮や負荷分散を用いてWebアクセスを高速化するリバース・プロキシ「NetScaler System」(買収した米NetScaler製品)などを出荷している。ところが,ネットワーク対向型で利用するWAN高速化装置には進出してきていなかった。

 今回新たに出荷するWANScalerは,本社データ・センターと遠隔拠点などネットワーク対向型で使い,TCPのフロー制御によって大容量データの転送効率を高める装置である。同社の既存製品を補完する位置付けとなる。例えば,Presentation ServerやNetNetScalerを使いつつWANのエッジにWANScalerを追加する。これにより,例えば画面情報端末であれば,画面情報そのものも高速化するが,ローカル・プリンタに印刷データを転送する場合やファイルを保存する場合などWANを超えた大量データ転送において効果が出る。