米Microsoftは,「Windows Vista」とともに出荷する「Microsoft Internet Explorer(IE)7」をIE 7のほかのバージョンと区別しようとしたが,この試みは失笑や疑念の対象となり,不興を買った(Microsoft IE担当グループ・プログラム・マネージャであるTony Chor氏のブログ記事:Announcing IE7+)。同社はこうした不満を聞き入れ,発表済みの「IE 7+」という愛称を使わないことに決めた。

 Chor氏は8月4日(米国時間),IE関連ブログで「Windows Vista向けIE 7は『Internet Explorer 7+』と呼ぶ計画だった」と書いた(同氏のブログ記事:Revised IE7 Naming in Windows Vista)。「ブログには大量の意見が投稿され,その多くがIE 7+という名称に反対していた。われわれはWebサイトに『we heard you(意見を聞いた)』と書いたように,意見を受け入れた。『Internet Explorer 7』という名前に戻すことを発表できてうれしい。名称には「+」や「.x」など付けない。ただ『Internet Explorer 7』とする」(同氏)

 このくらい単純な名前ならよいのだが,実際は違った。こことのところMicrosoftは,Windowsに搭載するあらゆるプログラムの名称に,例外なく「Windows」という単語を付けてきた。この流れに従い,「Windows XP」およびWindows Vista向けIE 7の名称も,「Windows」をそれぞれ2回繰り返すという長く奇妙なものに変更する。Microsoftは,Windows XPだけでなく「Windows Server 2003」と「Windows XP x64」でも動くスタンドアロン版IE 7を「Windows Internet Explorer 7 for Windows XP」と呼び,Windows Vista向けIE 7を「Windows Internet Explorer 7 in Windows Vista」呼ぶことにしたのだ。

 この名称には,「Windows」という単語の大胆な使い方に加え,前置詞(「for」と「in」)の使い方にも微妙な違いがある。スタンドアロン版IE 7がWindows XP「for(用)」のであるのに対し,Windows Vistaと一緒に出荷するIE 7はWindows Vista「in(内)」のIE 7となり,実際にはWindows Vistaの構成要素であることを明示している。この馬鹿げた名称決定には,なにかほかの意味があったのだろうか。