米Boeingは,米海軍に納入する新型対潜水艦哨戒機「P-8A」用の制御システムで,米Wind River SystemsのLinux版ネットワーク機器向けプラットフォーム「Wind River Platform for Networking Equipment, Linux Edition」を採用した。Wind Riverが米国時間7月31日に明らかにしたもの。

 P-8Aは,対潜水艦/対海上/諜報/監視/偵察活動に使用する長距離型の多目的海洋航空機。米海軍は,現在使用している米Lockheed Martin製「P-3」(愛称は「Orion」)の後継機として,2013年より配備する予定。

 Platform for Network Equipmentは,Linuxベースのネットワーク機器開発用プラットフォーム。ネットワーク処理用ミドルウエアやアプリケーションなどを備えている。Linuxカーネル2.6を無修正で使用しており,ソースコードもすべて同こんするため,自由にカスタム化できる。

 オープンソース開発環境Eclipseベースのソフトウエア開発スイート「Wind River Workbench」が付属する。各種サードパーティ製ツールとの連携が可能で,Linux以外にもさまざまなOS向けのソフトウエアを開発できる。なおBoeingは,同スイート上で米陸軍の戦闘システム「Future Combat System」を標準化した実績がある。

 またWind Riverは同日,Linux版プラットフォーム製品の最新版「Wind River General Purpose Platform, Linux Edition 1.3」「Wind River Platform for Consumer Devices, Linux Edition 1.3」「Wind River Platform for Network Equipment, Linux Edition 1.3」の出荷を開始した。いずれもLinuxカーネルのバージョンは2.6.14。同日提供を始めた開発スイートの最新版「Wind River Workbench 2.5」を同こんする。

 同スイートの評価版は,Wind RiverのWebサイトから無償でダウンロードできる。

[発表資料(Boeingによる採用)]
[発表資料(Linux版プラットフォーム製品の最新版)]
[発表資料(Wind River Workbench 2.5)]