米Microsoftプラットフォーム&サービス部門担当共同社長のKevin Johnson氏は7月27日(米国時間),同社の年次金融アナリスト会議でブログ・サービスの次期版を発表した。サービス名は「MSN Spaces」から「Windows Live Spaces」に変わる。Windows Live SpacesはMSN Spacesのブログと写真共有機能を引き継ぎ,現在「MySpace.com」が支配しているソーシャル・ネットワーク市場に切り込むサービスになるだろう。

 Microsoftのプロダクト・マネージャであるLarry Grothaus氏は先ごろ,「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は,“開拓時代の西部”と似ている」と筆者に語っている。「Microsoftは,ユーザーの友人で構成される“内輪の関係”から人間関係を拡大してもらおうとしている」(Grothaus氏)

 つまりMicrosoftは,ブログ・サービスである「Windows Live Spaces」の性能改善や機能統合,他の「Windows Live」サービスと組み合わせたブランドの統一展開を通じて,SNS市場に殴り込もうとしている。現在SNSはほとんどの場合,ネットワーク上で知り合ったユーザー同士が仮想的に結び付いて関係を作っている。それに対しWindows Live Spacesのユーザーは,知人から関係作りを開始し,そこから派生する“友人の友人”とのつながりを,適切な権限を相手に与えつつ広げる。「このやり方は,(ネットワークではない)現実世界で関係作りをするのと同じ方法だ」(MicrosoftのMSN Spaces担当グループ製品マネージャであるMoz Hussain氏)という。

 Windows Live Spacesは,新しいユーザー・インターフェース(UI)機能をいくつか採用する。このUIを利用すると,Microsoftが提案している関係作りを実現したり,インスタント・メッセージング・ソフトウエア「Windows Live Messenger」やWebメール・サービス「Windows Live Mail」などWindows Liveのほかの機能とWindows Live Spacesを連携させたりできる。新機能「Friends Explorer」は,友人として登録したユーザーの更新情報を知ることができるし,同じような事柄に興味を持つほかのユーザーを見つけるのに役立つ。

 MSN SpacesのUIは,「Office 2007」の新しいUIによく似ており,検索ボックスが組み込まれているほか,「テーマ」によって見た目が大きく変更する。また次期バージョンのWindows Live Spacesでは,ドラッグ&ドロップで組み込めるガジェット(ミニ・アプリケーション)で機能を拡張できる。ガジェットと似た機能はWindows Liveのスタート・ページとなるWebサイト「Live.com」でも使われており,考え得るほぼすべての機能を提供可能だ。

 これまでMSN Spacesの人気は絶大だった。ユニーク・ユーザー数は1億2300万人を誇り,毎秒およそ300万人のユーザーが訪問している。ユーザーがアップロードした写真の枚数は毎日600万枚におよび,9日ごとに1Tバイトのストレージ容量を追加する必要がある。この規模を把握するために,MSN Messengerと比べてみよう。MSN Messengerのユーザー数は6年かけて1億6000万人に達した。MSN Spacesはわずか18カ月で1億3000万人に達する勢いだ。

 Microsoftは,8月なかばにはWindows Live Spacesを始めるとみられる。Windows Live Spacesは現行のWindows Live Messengerと,最近リリースされた「Windows Live Toolbar」を統合する。Windows Live Toolbarを使うと,Webページ内で電話番号や住所,その他情報を検索したり,他者とのやり取りを簡単に行ったりする機能を持つ新スマート・メニューなど,興味深い機能をいくつか「Microsoft Internet Explorer(IE)」に追加できる。Windows Live Toolbarは,現在Windows LiveのWebサイトからダウンロードできる。