英MessageLabsは,スパムやウイルスについて調査した結果を米国時間7月6日に発表した。それによると,2006年6月は電子メール全体に占めるスパムの割合が再び上昇している。また,ウイルスやフィッシングは,より標的を絞った攻撃に移行しているという。

 6月の電子メール・トラフィックにおけるスパムの割合は64.8%となり,前月から6.9%上昇した。4~6月期は60.4%で前期からはほぼ横ばい,前年同期からは7.8%減少している。同社は,電子メール,インスタント・メッセージ(IM),Webといった通信チャネルだけでなく,情報収集や攻撃手段としてスパイウエア,スパム,ウイルス,フィッシングなどを組み合わせて仕掛ける傾向が強くなっていると指摘している。

 同社によれば,スパマーは新しい媒体に攻撃範囲を広げている。これまでの電子メールに加え,携帯電話のテキスト・メッセージ,WebベースのIM,ブログ,MySpace.comのようなソーシャル・ネットワーキング・サイトも攻撃対象になっている。同社はこの傾向を,「電子メール・ベースのセキュリティ・ソフトウエアを回避するため」と説明。また,年齢,地域,そのほかの特徴でより効果的にターゲットを絞ることもスパマーの狙いとして挙げている。

 同月のウイルス感染メールの割合は101通に1通(1%)で,前月から0.5%減少した。4~6月期では68通に1通の割合(1.5%)となり,前期から0.7%,前年同期からは1.4%減少した。全体的なウイルスの減少傾向に反して,企業や組織から知的財産を盗み出すことに目的を絞ったトロイの木馬攻撃の数が6倍に増加している。このような攻撃は,2005年には週に1~2件ほどだったが,現在では1日におよそ1件発生しているという。

 フィッシング攻撃を仕掛けるメールは,531通に1通の割合(0.19%)となり,前月から0.12%減少した。4~6月期では377.7通に1通(0.26%)で前期から0.02%減少している。フィッシング攻撃の数は減少する傾向がみられるが,犯罪組織の関心がマルウエアの作成からフィッシング攻撃に移行しているため,より的を絞った攻撃が増えると同社は予想している。

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