米Microsoftの独占禁止法(独禁法)違反に対する欧州連合(EU)の取り組みに賛同が多いなか,EUは7月3日,MicrosoftがEUとの和解条件を履行しない場合は1日当たり最大260万ドルの制裁金を科すという欧州委員会(EC)の計画について投票を行い,全加盟国25カ国が賛成した。複数の情報筋によると,制裁金は2005年12月にさかのぼって発生し,和解条件を完全に満たすまで毎日支払うことになるという。

 Microsoft顧問弁護士のBrad Smith氏は「条件履行に対する見解はEUと当社のあいだで食い違っているが,われわれは現状を打開できるとみている」と述べた。ただしMicrosoftは,「要求に応えられるよう作業を進めているが,ECは2006年の初めごろになるまで具体的な和解条件を提示してくれなかった」と主張している。

 EUは2004年3月に,Microsoftが欧州の独禁法に違反したとの判決を下し,罰金の支払いとWindows Media Player(WMP)非搭載版Windowsの販売のほか,Microsoft製サーバーと接続可能なソフトウエアの開発に必要なプロトコル技術文書の提供を命じた。Microsoftは罰金を納め,とうとうWMP非搭載版Windowsである「Windows XP N」を数種類リリースした。ところが提供された技術文書は,役に立たないとの苦情が出るひどい内容だった。ECは2005年12月,Microsoftに「和解条件を満たしていない」と指摘し,「最後のチャンスを与える」と通告した。

 EUの独禁法担当委員であるNeelie Kroes氏は,7月第3週にほかの委員と協議し,Microsoftに対する制裁措置の最終判断を下す。Kroes氏は「制裁金が承認され,その影響に関する発表を協議後の週末までに行える」とみる。MicrosoftはEUの要求に応えられる状態のはずだ。7月18日に最新の技術文書を出してくるだろう。