米Microsoftは,韓国でのWindows製品による独占禁止法(独禁法)違反行為に対して韓国公正取引委員会(KFTC)が命じた是正措置の執行延期を求めていたが,ソウル高等裁判所はこれを棄却した。Microsoftが韓国で現地時間7月4日に明らかにしたもの。棄却の理由について,ソウル高等裁判所は「KFTCの命令を直ちに施行しても,回復不能な損害が発生するとは思われない」と説明した。

 KFTCは2005年12月に,MicrosoftのWindows製品が韓国の独占禁止法に違反していると判断し,330億ウォン(約3500万ドル)の罰金支払いのほか,「Windows Media Player」および「MSN Messenger」を搭載しないWindowsの提供などを命じていた(関連記事)。是正措置の主な内容は以下の通り。

・330億ウォン(約3500万ドル)の罰金支払い
・180日以内にWindows Media Serviceを搭載しないWindows Serverを提供すること
・Windows Media Player/MSN Messengerを搭載しないWindowsを提供すること
・競合ソフトウエアのダウンロード用Webページにユーザーを誘導できるMedia Center,Messenger Centerを搭載したWindowsを提供すること
・既存のWindowsユーザーに対し,CD-ROMやWebサイト経由のアップデートなどでMedia Center/Messenger Centerを提供すること

 これに対しMicrosoftは,ソウル高等裁判所にKFTCの裁定見直しなどを申し立てていた(関連記事)。

 KFTCの判断について,Microsoft韓国法人Microsoft Koreaの上級弁護士であるJae Hoon Chung氏は「事実に基づいていない」と批判している。Chung氏は「すべてがデジタル化する時代の到来により,メッセンジャーやメディア・プレーヤの機能をWindowsに搭載することで,消費者や開発者により多くのサービスを提供できる。さらに韓国製のメッセンジャー『NateOn』やメディア・プレーヤ『Gom Player』といった成功例をみれば,消費者は競合技術を容易に入手可能なことが分かる」という。

 Microsoftは今後もソウル高等裁判所で控訴に関する作業を続けるとしている。

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