米Microsoftは6月27日(米国時間),「Windows Genuine Advantage(WGA)Notifications」のアップデート版をリリースした。セキュリティ研究者らが先ごろスパイウエアとみなし,議論の的になったWindows用コンポーネントの新版である。新版は,インストールされたパソコンの再起動時に毎回インターネット経由でMicrosoftに情報をこっそり送る,といった動作を行わなくなった。さらにMicrosoftは,この言語道断なソフトウエア・コンポーネントを削除するための情報を公開した。

 MicrosoftはWGA Nofificationsの新版に関する発表文のなかで,「当社の顧客から『WGA Notificationsの動作には失望した』との意見をもらい,新版で改善するために努力した」と書いた。

 WGAは,Microsoftのソフトウエア海賊版対策に役立つよう設計されたツールである。単一のツールではなく,パソコン上で動いているWindowsが正規版かどうかを調べる「WGA Validation」と,海賊版Windows上で目障りな警告とMicrosoftの問い合わせ先情報を定期的に表示するWGA Notificationsという2つのコンポーネントで構成されている。

 Microsoftはつい先日,WGAがパソコンの再起動時に毎回システム構成情報をMicrosoftへ送信するようWGA Notificationsコンポーネントを変更したため,非難の対象になった。この変更を施したWGAがまだベータ版であるにもかかわらず,Microsoftは,優先度の高いアップデートとしてAutomatic UpdatesとWindows Updateで顧客に提供した。この行為も懸念材料になった。実質的にMicrosoftは,何も知らせず顧客を実験台として使い,WGAでひそかに海賊版の情報を取得していたことになる。

 プライバシが問題とされているのに,Microsoftは「正当なWindowsユーザーが当社のソフトウエア・アップデート・サービスを使用しているかどうかについて,当社には知る権利がある」と述べ,自分たちの行動を弁護した。WGA Notificationsは,新版でも海賊版に対する警告を出す。さらに(インストール時に)初めて検査を実行したときは,相変わらずデータを送信する。しかし,システム再起動ごとの検査とMicrosoftへのデータ送信は行わなくなった。

 使用しているシステムからWGA Notificationsを削除しようと思っても,コントロール・パネルの「プログラムの追加と削除」で対象コンポーネントを選ぶ,という簡単な作業で済まないことも問題である。Microsoftは削除手順をWebサイトで公開した(How to disable or uninstall the pilot version of Microsoft Windows Genuine Advantage Notifications)が,「手順は未検証で,当社はサポートも推奨もしない」としている。