米EMCは米国時間6月29日に,米RSA Securityを買収することで両社が最終合意に達したと発表した。EMC社はRSA社の株式1株につき28ドルを現金で支払う。取引総額は21億ドル近くにのぼる見込み。

 EMC社はRSA社買収により,IDおよびアクセス管理技術,暗号およびキー管理ソフトウエアを取得し,自社の情報セキュリティ製品を拡充する。

 「情報セキュリティは世界中の経営者が優先課題に挙げており,情報管理と切り離せない問題になっている。情報の安全性確保とは,データを管理すること,そしてデータへのアクセスを管理することだ」(EMC社会長兼社長兼CEOのJoe Tucci氏)。

 また同氏は,「RSA社が引き続き市場シェアを拡大するため(の事業推進)に必要なリソースを割り当てることに全力を注ぐ。同時に,RSA社の技術と当社製品の密な統合を図り,顧客に最良の情報セキュリティ製品を提供できるようにする」と述べた。

 買収取引は,2006年第3四半期末か第4四半期初頭に完了する予定。買収後のRSA社は,EMC社の情報セキュリティ事業として運営する。現RSA社CEO兼社長のArt Covielloが同事業のプレジデントおよびEMC社執行副社長に就任する。

 なお,EMC社の今回の発表直前に,RSA社は「New York Times紙に当社売却の情報が載ったが,現在は戦略的取引のための交渉を行っている段階であり,なんらかの合意に至ったことを保証するものはない。取締役会が承認し,最終合意に達するまでは,これ以上のコメントを控える」との声明を出したばかりだった。

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