ドイツの出版社WBGは,米Googleの書籍本文検索プロジェクト「Google Books Library Project(旧称:Google Print Library Project)」に対する仮禁止命令要求の取り下げを決定した。Google社が米国時間6月28日に,同社の公式ブログで明らかにしたもの。

 WBG社はドイツの出版社協会の支援を得て,Google Books Library Projectが著作権侵害行為に当たるとして仮禁止命令を要求していた。しかし,仮禁止命令要求が認められる可能性は低いとハンブルグ地方裁判所が判断したため,WBG社は要求を取り下げることにしたという。裁判所は,「書籍の一部を表示することは,当社のWeb向け検索エンジンで表示する検索結果と同等のもので,著作権侵害に当たらない」とするGoogle社の主張に同意した。WBG社は「米国で書籍をスキャンすることは,ドイツの著作権侵害にあたる」と訴えていたが,裁判所はこれを退けた。

 Google社によると,「Google Book Searchでは,出版社から事前に許可を得ない限り,検索語周辺の2~3段落しか表示しないなど,著作権保護に細心の注意を払っている」。Google社を巡る訴訟では,フランスのLouis Vuittonが検索広告に関する商標権侵害で争っていたが,パリ控訴裁判所はGoogle社に対する一審の制裁措置を支持したという。Louis Vuitton社は,Google社とそのフランス子会社が,商標の偽造と,不公正な競争および広告を助長したとして提訴していた。Google社は,欧州連合(EU)の「E-Commerce Directive(電子商取引に関する命令)」が定める免責条項を行使しようとしていたが却下された。

 裁判所は,Google社がフランスからアクセス可能なWebサイトにおいて,Louis Vuitton社の商標を使うことを禁止した。また,同社が支払う損害賠償金額を30万ユーロに引き上げたほか,Louis Vuitton社の裁判費用として,合計7万5000ユーロを負担するように命じた。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]