米Microsoftの海賊版対策ツール「Windows Genuine Advantage(WGA)」は最近,定期的にMicrosoftと通信していることが明らかになった。Microsoftは通信機能の存在をユーザーに知らせていない。プライバシ保護を掲げるLauren Weinstein氏が2006年6月5日にこの問題を自身のブログで報告したところ,この話題は一気にインターネットで広まり,主要ニュース・メディアで取り上げられた。Weinstein氏が見つけたWGAの動作は,パソコンの起動時に毎回,もしくはパソコンが動いたままで1日以上再起動されない場合は毎日,Microsoftとの通信を試みる,というものだった。

 Microsoftは2006年6月8日,「WGAの最新版は,当社のサーバーとの通信を2週間に1回だけ行うよう修正した」と発表している。それにもかかわらず,あるサード・パーティは,WGAによる定期的なMicrosoftのサーバーとの通信を妨げることにした。

 ファイアウオール試験で知られるサイトFirewall Leak Testが6月,「RemoveWGA」と呼ぶツールを公開した。RemoveWGAは,海賊版Windowsであるかどうか検査するWGAの通常動作は許可する。しかし,WGAのインストール・パッケージに含まれている通知コンポーネントを削除し,定期的にMicrosoftと通信することを禁止する。

 WGAは2005年7月より,MicrosoftのWebサイトからある種のソフトウエアやアップデートをダウンロードする際に,導入が必要なツールとされている。Microsoftは2006年4月に,Microsoft Officeを調べるツール「Office Genuine Advantage(OGA)」の試験運用を開始した。

 RemoveWGAのWebページには,「(WGAの)検査機能はMicrosoftから(重要でない)ある種のダウンロードを行うために必要であるが,(WGAの)通知機能は全く必要性がなく,(この通知機能を)使わずにすべてのセキュリティ・アップデートをインストールできる」とある。

 Microsoftは6月27日,WGAの試験運用を終えたと発表した。そして全世界の「Windows XP」ユーザーにWGAを配布する段階に入る。さらにMicrosoftは,「WGAの使用許諾契約書(EULA,End User License Agreement)を変更し,旧版WGA導入済みパソコンから通信コンポーネント『WGA Notifications』を削除する手順を掲載した」としている。