オンラインの児童虐待撲滅に向けて,全米行方不明/被搾取児童センターであるNCMEC(National Center for Missing&Exploited Children)と大手IT関連企業5社が協力体制を敷く。米Time WarnerのAOLが米国時間6月27日に明らかにしたもの。AOL社,米Yahoo!,米Microsoft,米EarthLink,米United Onlineの5社は,NCMECが児童ポルノといった搾取を取り締るために,資金100万ドルと技術的なノウハウを提供する。

 NCMEC内に「Technology Coalition(テクノロジ連合)」を設立し,(1)児童虐待画像などを検出する技術的手法の開発および導入,(2)業界における児童ポルノ関連情報の共有,(3)法の執行機関が利用できるツールの開発,(4)犯罪者が使用するテクノロジの研究に取り組む。

 NCMEC会長兼CEOのErnie Allen氏は,「インターネット上で児童搾取を根絶することは,現実の世界同様,不可能かもしれない。しかし,最新技術を利用すれば犯罪者が捕まる可能性は高まるので,犯罪の抑止力としても有効」と説明する。

 米メディア(CNET)の報道によると,今回の発表は,ISPやSNSが,児童の性的搾取者に悪用されていることを論議する下院小委員会の聴聞会に合わせたもの。犯罪者摘発を目的としてISPにデータ保持を義務づける法案を求める声も上がっており,それが実現すれば,ISPは多大な出費を強いられるほか,プライバシの問題に直面する。同メディアは「児童虐待撲滅に自主的に取り組んでいることをアピールする狙いもあるはず」とみている。

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