米Gartnerは米国時間6月26日,パソコンの年間故障率(AFR)を調査した結果を発表した。それによると,過去2年間でAFRはおよそ25%低下しているが,まだ改善の余地があると指摘している。

 同社のベンチマーク調査は,ノート・パソコンのラッチからマザーボードまで,ハードウエア部品の交換が必要な修理を「ハードウエア故障」と定義してカウントしたもの。調査の結果,デスクトップ・パソコンとノート・パソコンのハードウエア故障率は低下しているが,ノート・パソコンのAFRは,使用期間全体を通じてまだ15~20%の範囲にあることが分かった。

 2003~2004年に購入されたノート・パソコンのAFRは,最初の年で平均20%だったが,4年目になると28%に上昇していた。デスクトップ・パソコンの場合,1年目の7%が4年目になると15%に上昇した。2005~2006年に購入されたデスクトップ・パソコンのAFRは,1年目が5%で4年目には12%(予想)。ノート・パソコンの場合は,最初の1年が15%,4年目は22%(予想)になるという。

■デスクトップとノート・パソコンの平均年間故障率(単位:%)
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                   2005-06年購入の   2003-04年購入の
                     システム            システム
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デスクトップ
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1年                     5                   7
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4年                    *12                 15
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ノート・パソコン
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1年                     15                 20
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4年                    *22                 28
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注記:*は予測
出典:Gartner社Dataquest(2006年6月)

 デスクトップ・システムでは,マザーボードとハード・ドライブの故障が最も多い。同社は「マザーボード上に搭載する部品の数が増加するにつれて,マザーボードの取り替え件数も増えている。NICやモデムなどは,単体の部品として交換できなくなっている。そのため,これらが故障した場合には,マザーボードの取り替えが必要になる」と説明している。

 ノート・パソコンの故障は,これまでスクリーンの破損が単独で最も多かった。しかし,メーカーがきょう体とスクリーン枠に構造的な強度を加え,ノート・パソコンを閉めた状態でのスクリーンとキーボードの距離を広げるなど,デザイン面での改良を加えたことにより,スクリーン破損は大幅に減少したという。

 現在,購入して2年以内のノート・パソコンでは,デスクトップと同じようにマザーボードとハード・ドライブの故障が多い。そのほか目立つものとしては,ラッチやヒンジを含むきょう体の故障,キートップの脱落や印字の色あせなどを挙げられている。

 同社によれば,製品の信頼性を向上させるために,パソコン・ベンダーの中には,デザインとシステムの両面においてテスト回数を増やしたり,修理段階でシステム全体のテストを実施したりして,次に問題となる個所の検出と修正に取り組んでいるところもあるという。また,部品の故障に対して,サプライヤへのペナルティを高くしているベンダーもある。

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