米ABI Researchは米国時間6月21日,モバイルTVサービスに関する調査結果を発表した。それによれば,2005年における同サービスの加入者数は640万人だった。同市場はサービスが開始されて間もないが勢いを増している。今後数年間は,広告収入による配信サービスが同市場の成長をさらに後押しし,サービス加入者数は2011年までに5億1400万人に達するという。

 同社によれば,ブロードキャスト方式がモバイル・ビデオにアクセスする手段として好まれる。ユニキャスト方式は,ビデオ・オン・デマンドのサービス向けに残るが,大半の購読サービスがブロードキャスト方式のコンテンツ配信となり,ユニキャスト方式に限定した購読サービスが市場を占める割合は高くないと予想している。

 韓国と日本では,早い段階で同サービスの提供を開始したが,欧州と北米市場もそれほど後れていない。米国では3社がモバイル・ビデオ配信サービス提供の計画を発表している。米QualcommのMediaFLOは2006年10~12月にサービスの提供開始を予定している。2007年には,米Aloha PartnersのHiwireと米Crown CastleのModeoも続く。

 同社主席アナリストのKen Hyers氏は「大半の市場は,ブロードキャスト・ネットワークの構築コストが高いため,2つ以上のネットワークをサポートできないだろう」とコメントしている。同氏は,モバイルTVサービスのプロバイダが生き残るためには無線通信事業者との関係が大きな要因になると指摘。Qualcomm社が同サービスを提供する目的で設立した会社のMediaFLO社が生き残る可能性が高いとみている。また,Verizon Wirelessも同サービスに取り組んでいるため,Modeo社とHiwire社の間で生き残りをかけた競争になると予想している。

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