米Microsoftはマサチューセッツ州ボストンで開催中のTechEd 2006で,新しいセキュリティ製品ブランド「Microsoft Forefront」と,「Microsoft Internet Security and Acceleration(ISA)Server 2006」のリリースについて発表した。Forefrontブランドではまずクライアント用ウイルス対策ソフトをリリースするが,将来的にはISA ServerもForefrontブランドに統合する予定だ。

 Forefrontブランドでは,クライアントやサーバー,ネットワーク境界向けのソリューションを提供する。Microsoftのセキュリティ/アクセス/ソリューション部門担当副社長のTed Kummert氏によると,「(Forefrontは)既存インフラと連携し,ITセキュリティおよびアクセスの管理/制御作業を簡素化する」という。「Microsoftが初めて提供するForefrontブランドの製品は,『Forefront Client Security』(旧名称は『Microsoft Client Protection』)となる。ベータ版の公開を2006年第4四半期に予定している。現在Forefront Client Securityは非公開でベータ試験を実施しており,製品の正
式リリースは2007年第2四半期になる見込みだ」(Kummert氏)。

 Forefront Client Securityは,デスクトップ/ノート・パソコンとサーバー向けの総合マルウエア対策製品である。非公開ベータ試験の参加者からのフィードバックを参考にして,MicrosoftはForefront Client Securityの状態検査機能と単一プロファイル設定機能を強化した。状態検査機能は,パッチ適用やセキュリティ設定の調整が必要なマシンを見つけるのに役立つ。単一プロファイル設定機能は,セキュリティ・ポリシーの適用を簡素化できる。Forefront Client Securityは作動時に,ウイルスやワームなどを駆除するツール「Microsoft Windows Malicious Software Removal Tool」の収集したデータを一部利用している。

 Microsoftは,「Microsoft Antigen for Exchange」と「Microsoft Antigen for SharePoint」のそれぞれ新版を,「Forefront Security for Exchange Server」「Forefront Security for SharePoint」に名称変更し,「Exchange Server 2007」「Office 2007 system」とおおむね同じ時期にリリースする計画だ。

 ISA Server 2006は,2006年2月にリリース候補版が登場した。旧版の「ISA Server 2004」に対し,SharePointやExchange,負荷分散したWebサービスへのサイト発行を容易にしたり,証明書の導入機能を改善したりといった改良を施してある。最新版には,改善した認証機能,新しいシングル・サインオン機能,効率化した部門間接続機能,大量パケットによる攻撃を緩和する機能,その他改良した機能を搭載する。

 Microsoftのロードマップによると,最終的には2007年のどこかでISA Server製品をForefrontブランドでリリースする。Kummert氏は特に触れなかったが,Microsoftが買収手続きを進めている米Whale Communicationsの技術は,ISA Serverの次版開発において重要な役割を果たす可能性がある。