写真1●Windows Live Platform担当General ManagerのGeorge Moore氏
写真1●Windows Live Platform担当General ManagerのGeorge Moore氏
[画像のクリックで拡大表示]
図1●Windows Live Platformの構成。ストレージ機能なども外部に公開する
図1●Windows Live Platformの構成。ストレージ機能なども外部に公開する
[画像のクリックで拡大表示]
図2●米John L. Scott Real EstateのWebサイト
図2●米John L. Scott Real EstateのWebサイト
[画像のクリックで拡大表示]

 米Microsoftは6月13日(米国時間),米国ボストンで開催中の「TechEd 2006」で,Webアプリケーション・サービス「Windows Live」の戦略を明らかにした。Windows Live Platform担当General ManagerのGeorge Moore氏(写真1)は,「Windows Liveは,サード・パーティがアプリケーションを開発できるプラットフォーム。WebサービスAPIは公開されており,Hotmailの2億4000万人,マイクロソフト製Messengerの2億3000万人というユーザー・ベースを活用したソーシャル・ネットワーク・アプリケーションを自由に開発できる」と述べた。

 Microsoftは6月第1週に,開発者向けのWebサイト「Windows Live Dev」を開設し,Windows Liveが提供するWebサービスAPIを利用してアプリケーションを開発するためのソフトウエア開発キット(SDK)やドキュメントを公開し始めている。例えば,Windows Messenger(MSN Messenger)のWebサービスAPIを利用すると,第三者がWindows Messenger互換のインスタント・メッセンジャ・ソフトを自由に開発できる。このほか,「Google Maps/Google Earth」の対抗サービスである「Virtual Earth」,ブログ・サービスなどの「Space」,検索サービスの「Windows Live Search」などのWebサービスAPIも公開されている。

「Windows Liveのストレージやアドレス・データベースを使ってほしい」

 既存のWebサービスAPIやコンテンツを組み合わせて新しいサービスを作ることを「マッシュアップ」と呼ぶ。Moore氏は,マッシュアップの「素材」として,Windows Liveが有用であることを強く訴えた。Windows Liveがマッシュアップ用に提供しているサービスは,「アプリケーション」「コモン・サービス」「コア・インフラストラクチャ」の3つのカテゴリに分かれる(図1)。Moore氏は「Windows Live用にMicrosoftが構築したストレージや,Windows MessengerやHotmailのContacts(ユーザー名簿機能)といった,Webサービスの核となるインフラも利用できる」と述べている。

 特に強調したのは,既に多くのユーザーが存在するMicrosoftのアプリケーションのユーザー名簿機能(Contacts)が公開されている点だ。Windows Messenger互換ソフトを作った場合,そのソフトはWindows Messengerと同様に,ほかのWindows Messengerユーザーと通信できる。現在のところ,Hotmailのユーザーは2億4000万人,Windows Messengerのユーザーは2億3000万人,Spaceのユーザーは1億3000万人に及び,各ユーザー間の関係が1200億通り記憶されているという。Moore氏は「だれもがC#を使って,世界で最も巨大なアドレス・ブック・データベース上で動作するメッセンジャ・クライアントを開発できる」と述べている。

検索と地図サービスのマッシュアップでもGoogleに対抗

 米Googleに水を空けられているMicrosoftの検索サービスだが,「Windows Live Searchは,だれでもマクロを使って操作できる」(Moore氏)ことを売りにしていくという。またWindows Live Searchに関しては,WebサービスAPIも公開しているので,Windows Vistaの「サイド・バー」上で動く「ガジェット」(ユーザー・インターフェースをDHTMLで,ロジックをJavaScriptで記述したミニ・アプリケーション)に検索機能を簡単に組み込めると述べている。

 地図サービス「Virtual Earth」のWebサービスAPIを使ったマッシュアップについては,シアトルにある不動産会社が作ったWebサイトを例に説明した。Virtual EarthのWebサービスAPIを利用すると,自社のWebサイトに地図を使ったアプリケーションを容易に実装できる。今回紹介された米John L. Scott Real EstateのWebサイトでは,不動産物件を所在地や価格,ベッド・ルームやバス・ルームの数で検索すると,その結果が地図上に画像入りでトレースされる(図2)。

 Moore氏は「Virtual Earthの機能を入れるのに必要となった開発期間は3週間だけだ。それでいながら,物件情報の閲覧数は30%も増加した。顧客に対する効果は大きい」と,マッシュアップの効用を力説している。